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仮想通貨の高騰は本当にバブルなのか? [マネー・買い物]

我々が「バブル」と聞いて真っ先に思い出すのが、1980年代の終わりから90年代の初めにかけて発生した日本の「バブル経済」と、1999年から2001年頃に発生した「ITバブル」の2つだろう。今、仮想通貨が高騰しており、2つのバブル崩壊を経験した人々の多くは、現在の状況をバブルと決めつけ、暴落の危険性を警告する。はたして、我々はまたもやバブルに踊らされているのだろうか?

まず、いわゆる「バブル経済」の原因と結果を簡単にまとめておこう。独善的なアメリカが貿易赤字を減らすために、いわゆる「プラザ合意」によって大幅な円高ドル安にする。それによって、日本の資産価格が上がり、お金に目敏い人たちが不動産投資や株式投資で大儲けする狂乱状態になる。ところが、このままではインフレになってしまうというので、政府・日銀がその抑制政策を行い、結果、投資で損失を出す人が増え、不景気になってしまったというわけだ。ここから言えるのは、国家がバブルを発生させ、かつ崩壊させたのであるから、バブル経済崩壊の主犯は国家であるということだ。

その後、1999年から2000年頃、「ITバブル」またの名を「ドットコム・バブル」が世界を襲う。これからはインターネットの時代だという期待だけで、雨後の筍のように出来たネット企業の株式が高騰する。だが、売上が実態に見合わず、またFRBの利上げ、911の同時多発テロ事件が重なって、株価が暴落したというわけだ。これもまた主犯は国家である。

そして、今まさに、「仮想通貨バブル」が発生していると言われている。仮想通貨は、通貨を利用する人たちが保証するというもの。従来の通貨のように国家がその価値を保証するものではない。国境の枠組みを飛び越えるグローバル経済(国家の信用と価値が下落する経済のこと!)では、国家間の為替も障害の一つであるが、その障害を取っ払ってくれるのが仮想通貨である。

実態のない仮想通貨の価値が短期間で何倍にもなるという現象は、もしかしたら「バブル」と呼べるものなのかもしれない。あふれるほどの仮想通貨が発行されており、その多くは確かにいずれ無価値なものになり、消え去るのは間違いない。しかし、それをもってバブル崩壊と言えるのだろうか。ネットを基盤としたビジネスが我々の日常生活に完全に根付いたように、仮想通貨自体が消滅することはありえない。しかし、仮想通貨の淘汰を一括りにバブル崩壊と呼ぶのは間違っていると思う。

21世紀に生きる我々はますます「国民国家」(18世紀に成立したばかりのアイデア!)というものが信用できなくなりつつある。日本の政治家の顔ぶれを見るだけで、100人中100人が私の主張に賛成してくれるだろう。「確かにあんなバカどもに、自分の人生を預けられるわけがない」と。これまでバブル崩壊を引き起こしてきたのは「国家」である。そんな国家を信用しないがために生まれた通貨が、バブル崩壊を必ず起こすと断定するのは、頭の悪い私にはできない。もちろん、仮想通貨も、国家の発行している通貨をベースにしているのだから、国家の失策の悪影響を受ける可能性がある。もし仮想通貨がバブル崩壊を起こす事態になってしまっら、そのときはまたもや国家が主犯ということになり、かえって、中央集権体制によって保証される従来の通貨ではなく、利用する人たち全員がその価値を保証する仮想通貨の信頼度がよりいっそう高まるに違いない。

年寄りは、いかんせん、経験則(=自分の狭い視界)で物事を捉えがちである。これまで数多くの失敗をしてきているゆえに、えてして、「羮(あつもの)に懲(こ)りて膾(なます)を吹」き、かつ世間知らずな若者に説教したがる。自分の経験則がもはや通用しなくなっている可能性を年寄りが疑わないことのほうが、もしかしたら、愚かしいことなのかもしれない。

バブル経済の原因と崩壊

バブル崩壊 - Wikipedia

インターネット・バブル - Wikipedia

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