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「狂ったアメリカ」 [本]

日本人は「狂ったアメリカ」を知らなすぎる | 読書 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準

著者は、アメリカを、反知性主義の狂った国とし、自分たちが信じたいことを信じたいように信じる権利があるとさえ主張するフェイク国家だと喝破する。以前から、同じような主張の本が出版され続けており、私も1冊だが読んだことがある。アマゾンで「反知性主義」「アメリカ」で検索してみると、多数ヒットするので、チェックしてみてほしい。この考え方は、もはや通説になっているように私には思える。

トランプを大統領にしたのは無教養なアメリカの中央部に住む野蛮な土人たちで、オバマを大統領にしたのは、東海岸や西海岸のリベラルなエリートだというのはよく知られている。好意的に言うならば、この2つのアメリカの対立の中で、あの連邦国家はダイナミックに発展しているのかもしれない。

そんなアメリカが生み出したファンタジー(幻想)の世界に洗脳され、洗脳されていることさえ気づいていないのが、我々日本人である。

百田尚樹氏が立憲民主党に痛烈な批判ツイート「韓国の政党」 (2019年1月17日掲載) - ライブドアニュース

この百田尚樹もまた、アメリカの生み出すファンタジーに酔い続けている反知性主義者だ。頭はすっかり禿げてしまっているけれども、ディズニーランドで着ぐるみのミッキーマウスを現実の存在として受け入れ、自身もまたミッキーの耳を頭につけてランド内を闊歩するような少女と同じような幼い精神を持っている。人は見かけにはよらないのだ。

百田尚樹は「立憲民主党は日本人の皮をかぶった韓国の政党である」と批判したそうだ。立憲民主党という政党の考えをはっきりと理解しているわけではないので、私には代弁する資格はないけれども、立憲民主党の考え方はある程度推察できる。彼らは、韓国も日本もいずれも精神的に幼い。自分たちの幼さに対する自覚がなければ、反知性主義のアメリカに、ずる賢く利用されるだけだ。我々は大人にならなければいけない。そんなところだろう。私は、そういう考えの人もいて良いと思うし、いなければいけないと思う。

日本人なら誰でも、自分の住んでいる国家を攻撃するものに対しては、必ず反撃をしなければいけないと考えなければいけないわけではないだろう。国民がすべて同じ考え方に染まることを理想とするイデオロギーを全体主義というが、それはヒトラーやムッソリーニやスターリンが広めようとしたナチズムやファシズムと同じものだ。人を一つの色に染めようとする考えは、数十年前に人類が克服したはずのイデオロギーである。

しかし、乗り越えたはずの全体主義は、中国や北朝鮮の共産党が体現する形で残存しており、百田尚樹らの劣った心の中にしっかり根付いてしまっている。百田らは、アメリカを支持し、中国や韓国を敵視する。その考え方自体が正しいのかどうかさえ疑わない。自分が正しいと思いたいことをただ正しいと主張するのである。これこそ反知性主義者の狂気である。

実際のところ、左翼を批判する百田らが体現しているのは、逆説的だが、左翼である中国や北朝鮮の共産党の考え方である。したがって、アメリカのファンタジーの傘の下では、勇ましい右翼に見えるかもしれないが、その見えないカツラを脱げば、彼らが軽蔑する「パヨク」そのものなのである。クレージーでマッチョなアメリカに、お股を広げて、心まで許しているだから。



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