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パンデミックのあとに残ったのはテレビへの不信感 [雑感・日記・趣味・カルチャー]

【新型コロナウイルス】同志社女子大・影山貴彦氏 エンタメは不要不急でも不可欠|日刊ゲンダイDIGITAL

この頃、私はテレビを見てニュースを追いかけていないので、世の中の状況がわからなくなっているのですが、「パンデミック」後のメディアのあり方は大きく変わらざるを得ないことだけは明確にわかりました。

情報番組のくだらなさが以前よりはっきり目立つようになったと思いませんか。そのくだらなさを構成する要素はいくつかあると思いますが、真っ先に思いつくのは、勧善懲悪なプロレス的な手口にあります。誰かをわかりやすい敵にして、集中的に攻撃するというやり方です。視聴者は単純な人が多いはずだから、複雑な話をしても、理解できないという思い込みがテレビの側にあるので、どうしても話を単純化して、面白おかしくする傾向があります。わかりやすい敵をでっちあげて攻撃するのは確かに面白いですが、そればかりだと食傷してしまいます。それもチャンネルをかえられてしまわないようにするための方策なので、仕方がないところがあります。しかし、そういうものがつくづく嫌になりました。

もうひとつのくだらなさの要因は、それに関わることですが、テレビは恐怖や不安を煽るようなことをして、視聴者を惹き付けようとすることです。しかし、話をよくよく聞いてみると、話を大げさにしているだけで、ほんとうは大したことではないことばかりです。毎回同じ話を少しだけ色合いを変えて繰り返されるだけで、いくら見ても不安だけが増して、不安はいっこうに解消されることはないことがわかりました。むしろ、誰にぶつけたらいいのかわからない怒りだけがふつふつと湧いてきて、耐え難くなるだけです。

ときどき、テレビの側は、視聴者の荒んだ心を癒そうとして、お涙頂戴のいい話を持ってくるのですが、そのマッチポンプの手口に白けてしまって、アホらしくなってきます。です。できの悪い映画を見ているような気分です。

さらに、テレビ側はそうやって視聴者=消費者の恐怖を煽っておいて、その恐怖を解消するための商品やサービスにお金を使わせようとする魂胆がミエミエなのです。くだらないです。結局、主役はCMであって、情報番組の情報は単なる見せかけにすぎません。メディアの役割は民衆に物事の正しい判断ができるような正確な情報提供ではなく、視聴者に無駄な欲望を喚起させることが主目的になっているのです。

暇つぶしの道具という側面もあります。だから、情報はなんでもいいわけです。ネットで話題のなんとかという動画を持ってきて、おもしろいですねえ、で終わりです。あとになんにも残りません。

メディアの本来の役割はなにかといえば、教育、啓蒙、エンターテインメントだと私は思います。単に不安を増幅させて、テレビから離れられなくしたり、ものを買うことを促すのも結構ですが、視聴者のものを見る目を養うことも同時に行わなければけません。それを怠ってきたテレビへの不信感だけが、パンデミックのあとに、残った気がします。



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