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ピーター・ウィアー監督『いまを生きる』(1989年) [映画]



昨晩、大きな地震があったとき、この映画を観ている最中でした。実は、これも2度目の鑑賞です。(前にも書きましたが、昔観た作品で良かったものを見返すことをしています。)

『いまを生きる(Dead Poets Society)』のあらすじはこうです。

アメリカ東部にある全寮制の進学校にOBのキーティング先生(ロビン・ウィリアムズ)が赴任します。先生は生徒たちにウォルト・ホイットマンの詩を通して、「いまを生きる」(カルペ・ディエム)ことの大切さを伝えるのですが、その考えが学校のストイックな(禁欲的な)教育方針とまったく相容れず、その理念を忠実に守ろうとする生徒たちは結果的にさまざまな辛苦を味わうことになるのです。(念のために申しておきますが、主役はキーティング先生ではなく、先生の言葉に感化された数名の生徒たちです。)

キーティング先生が生徒たちに教えた「カルペ・ディエム(Carpe Diem)」(英語ではSeize the Day)というラテン語は一見通俗的な意味での快楽主義的な生き方を勧めるような言葉に思えますが、本来のエピキュリアニズムに近いものだと考えるべきでしょう。この理念を真面目に追求すると周囲との軋轢を生む原因にもなり、生きづらさを感じることになります。自分の置かれた理不尽な環境に対して目を閉じて順応し、自分自身の欲求を抑え込んで、他者(権力者)の命令に従い、他者との衝突を避けるほうが居心地が良いのかもしれませんが、そういう生き方をする人ばかりでは、世の中はまったく改善しません。しかも、自分自身を抑圧し鬱憤を抱えながら生きて、死ぬ間際に人生を後悔する人ばかりになってしまいます。エリート大学に進んで、世の中を動かしていくようなリーダーになる人間にそんな妥協的な生き方を学校が教えることが、果たして良いことなのか、というのがキーティング先生の疑問なのでしょう。そのために、詩の言葉を通し、角度を変えて物事を見なければいけないと教えるのです。

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言葉と理念こそが自分自身を変え、他者を変え、社会を、そして世界を変えていくことにもなるというのが先生の教えです。ということでスクリーンショットを1枚だけ貼るとすれば、このシーンでしょう。(どこかの国の総理大臣に教えてあげたいセリフです。)

もっと詳しく勉強されたい方は町山智浩さんの解説動画を見てください。ちなみに、私はまだ見ていません。





この頃のイーサン・ホークは可愛らしい顔をしていましたね。『恋人までの距離(ディスタンス)』(1995年)、『ビフォア・サンセット』(2004年)、『ビフォア・ミッドナイト』(2013年)という一連の作品群も観ましたが、この作品のときとはずいぶん顔も雰囲気も違います。

ピーター・ウィアー監督の作品で有名なのは『トゥルーマン・ショー 』(1998年)ですね。あれは昔授業で使いました。自分が生きている世界は現実ではないのではないかと疑念を抱いてしまう作品です。『トゥルーマン・ショー 』もまた、そういう意味では、ものの見方を変えてくれる作品です。

地震の話に戻りますが、我が家周辺は震度4だったそうですが、5弱くらいに感じました。久しぶりに恐怖を感じました。地震がなかなか収まらないので、ちょっとだけ死を覚悟しました。しかし、停電もなかったし、モノが落下することもありませんでした。今日の昼間、外壁のチェックをしたのですが、ひび割れもありませんでした。

その代わり、蜂の巣を見つけました。怖いので、棒で叩いて落としておきました。中にハチがいたら、襲われて刺殺されていたかもしれません。

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