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『アイ・アム・サム』(2001年) [映画]





アイ・アム・サム - Wikipedia

陳腐な表現ですが、親子であることや家族であることというのは何を意味しているのかや、社会正義の名を借りた冷徹な差別や偏見について深く考えさせられる作品です。これは傑作と言って間違いありません。娘に対するサムの純粋な愛情によって、周りの人たちの考え方・生き方が大きく変化していくところが見どころです。

ビートルズ好きは絶対に見てほしい作品です。というか、すでに観ているはずですけど。私はこれで3回目です。主人公のサム(ショーン・ペン)がビートルズ・マニアで、ストーリーに合うようにセリフの中でビートルズの歌詞が効果的に使われているのがポイントです。脚本家の能力の高さに驚かされます。つい最近の映画だと思っていたら、もう20年も前のものなんですね。サムは知的障害者ということなので、作品の中で使われている英語は日本人にはすごくわかりやすいです。英語の勉強もいいと思いますよ。でも、これは英語の授業では使えません。ずっと泣きっぱなしになってしまいそうです。


スターバックスコーヒーに務めるサムが店で教わった接客方針として、"Be friendly but not familiar"(この表現は正確ではないかもしれませんが、こういう主旨)というのが出てくるのですが、印象に残りました。これって、接客に限らず、人間関係全般に当てはまりますよね。


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ユーザー車検を受けて、その後、妻をクリニックに連れていきました [クルマ]

朝イチで陸運支局へ行ってユーザー車検を受けてきました。もちろん1発合格でした。

まずは、かかった費用から公表します。

予備検査4種(テスター屋さん)5,500円
自賠責保険 20,010円
自動車重量税(収入印紙を含む) 35,900円

合計 61,410円

もしテスター屋さんを利用しなかったら、55,910円でした。自動車重量税のほうは13年目なので10,000円ほど上がりましたが、自賠責のほうが約5,000円下がったので、2年前に比べて、2年でおよそ5,000円の負担増で済みました。やはり、コロコロ乗り換えるより、ひとつの車を長く乗るほうがお得ですね。

ちなみに、2年前は、52,130円でした。3,780円も値上がりしています。でも、1年間だと1,890円増です。

今回はテスター屋さんにすべて見てもらいました。スピードメーター、光軸、排ガス、サイドスリップの4種類です。

テスター屋さんのお兄さんに言われたのですが、けっこうトーインになっていたとのこと。以前、右のロアアームを近所の整備工場で交換してもらった後、ハンドルが真っ直ぐにならなくなってしまって、自分でロッド調整をしたのですが、そのせいであることは確実です。素人整備ですから、そういうこともあります。

光軸に関しても調整が必要でした。2年前はテスター屋さんには行かなかったので、調整は4年ぶりです。「ロービームだと完全に合わせることができなかったので、ハイビームにして受けてください」と言われました。4年前も同じことを言われたような気がします。さらに、レンズが曇っていて光量も弱くなっているということで、ワコーズのスプレーをかけて少し磨いてもらいました。レンズ磨きはいくらやっても数ヶ月もすると黄色くなってしまうので、今回は自分で作業をしませんでしたが、やはり事前にやっておくべきだったかもしれません。

速度に関してですが、私のクルマはメーター上の45Km/hが、実際の速度としては40km/hだそうなので、検査のときには45km/hになるようにアクセルペダルを踏んでくださいと言われました。出すのは簡単ですが、その位置で止めるのは非常に難しいですね。毎回検査でやり直しさせられます。今回も1度失敗しました。

今日は過去2回のときとは違って、コロナの影響なのか、半分くらいの時間で済みました。車検を受けに来ている車を見ると、仮ナンバーが多かったです。それから、検査ラインの順番も変わり、手前の設備でサイドスリップと光軸、速度、ブレーキ点検、その後に移動して、排ガス検査をし、さらに移動して、下回りの点検という流れでした。

私は過去2回受けてはいますが、自分ひとりでは心もとないので、サポートのオジサンについてもらいました。かなり丁寧に教えてくださったので、緊張せずに済みました。サポートが必要な人は、ハザードランプをつけっぱなしにしておくルールに変わっていました。わかりやすいですね。

とにかく、今回も合格できたので、あと2年は安心して乗ることができます。整備のほうは自分でちょくちょくやっているので、いまのところ気になるところはありません。唯一気になるシャフトブーツもまだ大丈夫そうです。

今朝、妻が「お腹が痛いんだけど。差し込むような痛み」と言い出しました。私はユーザー車検の方をキャンセルするわけにはいかなかったので、「できるだけ早く帰ってくるから、少し頑張って我慢しておいて」と言って出かけました。ソファーにもたれてぐったりしていたので、パートの仕事も休ませました。それでも次男の弁当はしっかり作っていました。母は強しですね。

私は11時過ぎに帰宅できたのですが、妻は医者に行く準備をしておらず、結局家を出たのは12時になってしまいました。私が行っているクリニックは木曜日は休診なので、妻がリクエストした駅前のクリニックに行ってきました。二人とも初めて訪れるところでした。熱はないので、特に心配はいらないようです。妻は、処方してもらった漢方の整腸薬を飲んで安心したようで、私がカップラーメンを食べている間、ソファーで犬を抱いて昼寝をしていました。

昨日の夜食べたみかんが悪かったのではないかと妻は医者にも話したそうですが、腐ってもいないみかん1個でお腹が痛くなるなんてことは考えられないので、他に原因はあるはずです。私も同じみかんを食べましたし、夕食の同じメニューです。妻が作ったクリームシチューと、レトルトのハンバーグでした。家族全員同じものを食べましたが、妻以外、お腹が痛くなってはいないので、それが原因ということではなさそうです。もし食中毒であるとすれば、妻が昼に食べたもののせいかもしれません。しかし、妻はたいてい昼ごはんには、食中毒にすらならないようなカップラーメンの類しか食べないので、その線はなさそうです。変なものを食べてお腹を壊したということであれば、笑って済ませることができますけど、まだ原因がはっきりしないので、安心できません。

体が丈夫な人が突然ぐったりしたので、久しぶりに私も慌てました。



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小津安二郎監督『秋刀魚の味 』(1962年) [映画]



秋刀魚の味 - Wikipedia

この作品を見るのは、3度目です。

妻を亡くした50代の男(当時は55歳で定年だったから、52、3歳くらいの設定か?)が、娘を妻代わりに便利に使っていたのだけれども、年頃(23、4歳)になったので、お嫁にやり、寂しい思いをするというお話です。「人間は結局は一人で生きていかなければならない」というメッセージが一本通っている一方で、「人間はひとりでは生きていけない」という矛盾したメッセージも同時に発せられているのが興味深いところです。これは小津安二郎監督の遺作ですが、小津が最終的に行き着いた人生の境地が、私も50代になって、ようやくわかるようになった気がします。以前観たときは実感がわかなかったのですが、今は子供が巣立っていくことにリアリティーを感じます。

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父(笠智衆)に娘(岩下志麻)がお嫁に行かないかと告げられ、心の中に思う人がいる岩下志麻がためらいの表情を見せる場面です。

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息子と二人暮らしになってしまうことになり、生活が不自由になってしまうのは非常に辛いのだけれども、娘の幸せを利己的に奪ってしまってはいけないという父親の複雑な思いを表現する表情です。

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岩下志麻は、恐ろしいほどの美人ですね。

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佐田啓二は長男の役で、妻(岡田茉莉子)とアパートで新婚生活を送っていて、完全に尻に敷かれています。60年前ですが、おそらく当時としては、男がこんなエプロン姿で台所に立つというのは現代的だったに違いありません。それにしても佐田啓二のエプロン姿はひどいですね。

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働きに出ている妻(岡田茉莉子)は惣菜のハンバーグを買ってきたという場面です。このあと、父親(笠智衆)が娘(岩下志麻)の縁談の件で長男(佐田啓二)に相談しにやってくるので、佐田啓二の料理は見ることはできません。「ハム卵(たま)」だそうです。

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亡くなった妻にどこかしら面影を感じるというママ(岸田今日子)のいるバーに長男(佐田啓二)を連れていき、そこで、長男の会社の後輩と結びつける算段をします。ところが、その青年は、他に好きな人ができてしまったということで、その話はご破算になり、最終的には、父親の旧友から紹介されたお金持ちのボンボンのところに嫁ぐことが決まるのです。なんとも時代を感じさせる設定です。恋愛結婚とお見合い結婚が対立していないのです。

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この紐をぐるぐる指に巻くシーンは、小津安二郎監督に何十回とやり直させられたシーンだそうです。実際10数秒しかないのですが、若い女性の揺れる思いを的確に表現している印象的なシーンです。あっちにするか、こっちにするか。

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文金高島田姿も麗しいですね。

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娘を嫁にやった晩の父親の嬉しさと悲哀を感じさせる最も印象的なラストシーンです。

この『秋刀魚の味 』もそうですが、小津作品は構築物としてカチッとしているのがよくわかります。シークエンスの切り替わりのところで、遠近法で切り取られた建物のシーンが入ります。それが学校であったり、工場であったり、会社であったりするのですが、同じ構図なのです。時系列的には変化しているのですが、人間の一生では同じことが何度も繰り返されていることを印象づける狙いがあるのでしょう。作品の中には、(同窓会に呼んだ恩師のエピソードなど)いろんな話が散りばめられているのですが、この構造の中にあるゆえに、統一感を感じることになるのだと思います。場所は違えども、同じ遠近法の構図になっているのも、同じ効果を狙っていると考えられます。

以前はまったく気づかなかったのですが、作品の中で、けっこう家電の話があります。新しく買った掃除機とか、佐田啓二が父親にお金を借りて冷蔵庫を買う話とか、当時はそういう時代だったんですね。佐田啓二のアパートにも、笠智衆の家にもテレビがないのも面白いです。『お早よう』(1959年)では最後にナショナルの真空管テレビが家に届きますが、この作品はその3年後なのに、どこの家にも(中村伸郎の豪邸にも)テレビがないのです。

家電だけではなく、クルマのも目が行きました。おそらく、中村伸郎が乗っているのはトヨタのクラウンだと思います。

いつも小津作品ではビールが出てきますが、今回はサッポロですね。星のマークが何度も出てきます。バーで飲むウイスキーはトリスですね。『お早よう』で出てくるビールはアサヒだったかな? 忘れましたが。同窓会で恩師で漢文の先生(愛称ひょうたん)(東野英治郎)にお土産で渡すのは、瓶の形からサントリーのオールドだと思います。

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