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「都心回帰」の問題 [雑感・日記・趣味・カルチャー]

テレ東の「モーニングサテライト」という経済ニュース番組にたまに出演する大槻奈那さん(マネックス証券)を見るたびに、いつも椿鬼奴さんを思い出します。お二人とも美人です。

コロナが突き崩す「都心回帰」、経済優先の住宅政策に綻び:日経ビジネス電子版

有料版の記事なので、最後まで読めませんけど、世界一災害の多い日本列島で、一極集中政策のリスクを考えもしない、政府や企業は、やはり怠慢だとしか言いようがありません。

阪神大震災の直後に、左派の人が書いた本を読んだことがあるのですが、その著者の住宅政策に関する提案はいまこそ再評価されるべきではないかと思います。

著者の主張をまとめるとこういうことです。賃貸住宅の大部分は国や地方自治体が所有しておけば、災害で自宅に住めなくなってしまった場合に、いつまでも避難所に押し込めておいたり、そのたびに仮設住宅を作ったりしなくて済むのではないか、というものです。

阪神大震災でも東日本大震災でも、その他にも起きた数え切れないくらいの台風被害でも、住宅ローンを返済し終えていないのに、二重ローンを抱えてしまうような家庭がいくらもありました。そういった悲劇を避けるためも、国が国民に安く住宅を提供できる環境を整えておくのが、災害列島には必要だというのです。

社会主義的な発想ですが、社会主義だから駄目なわけではないと思います。自由主義制度で競争すれば必ずしも良くなるわけでもないことはわかりきったことです。国はある程度コントロールしないと、庶民は手がつけられないほどメチャクチャなことをし始めます。それこそが「都心回帰」です。首都直下型の震災に見舞われるかもしれないと恐れているのに、どうしてそんな東京に人を集めるのか、常人には理解できません。政府の無作為でしかないと思います。

都市の人口の推移を見ると、大阪、京都、福岡などは戦後、一貫して大して増えていません。ところが東京のみが数倍に増えているのです。尋常ではありません。それは満員電車をなくすことができないし、狭小住宅とタワーマンションばかりになるはずです。しかも住民が多すぎるので、行政サービスが行き届かず、10万円の給付金を家庭に配布するのにすら数ヶ月も要することになるのは当たり前です。首都で大災害が起きたら、どうなってしまうのか容易に想像できます。

東京で大災害があったら住民は一体どこに住むのでしょうか。大企業が本社を地方に移転し、社員を分散させないと、非常に危険だということに気づくのはいつになるのでしょうか。コロナ禍が終わった瞬間に彼らはまたぞろ「都心回帰」に戻るのでしょうか。だとしたら、日本人はあまりに愚かだと思います。