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バイトテロの原因は企業側にある [雑感・日記・趣味・カルチャー]

くら寿司動画炎上で考える、バイトテロが繰り返されてしまう理由(徳力基彦) - 個人 - Yahoo!ニュース

この方はいろいろ書いていますが、「バイトテロ」の原因は、煎じ詰めれば、パートタイム従業員の倫理観とネットリテラシーの欠如であると主張しています。要するに、従業員個人の問題だと考えているわけです。

確かに、その側面はあるでしょう。しかし、私は根本的な原因は、「人手不足」と「企業によるコスト削減」の2つにあると考えます。これは個人の問題ではなく、構造的な問題です。

そもそも人手不足のために時間帯によってはパートタイムの従業員だけで店を回す店舗も多くなっています。外国人労働者(移民!)だけというところもあります。事程左様に需要よりも供給が少ないので、好景気なアメリカと同じように、無責任に仕事を辞めても、次にいくらでも働き口が見つかる状況です。ここを辞めたら、もはや生きていけない、という状況ではないのです。おのずと人は仕事に無責任になります。倫理観も欠如するでしょう。ネットリテラシーも欠如した人間が悪ふざけすることもあるでしょう。

しかし、それもそうなのですが、「バイトテロ」の根本的な原因は、従業員の側にあるのではなく、企業側にあると思います。バブル崩壊後、長らく不景気が続いてきましたから(安倍政権は否定していますが!)、企業はあらゆる面での「コスト削減」に取り組んできました。それが労働者の賃金の低下、従業員の教育指導時間の減少、製品の質の劣化(日本の家電メーカーの凋落ぶりを見よ!)につながっているわけです。できるだけ少ないコストで、最大限の利益を上げようという株式会社側の打算的な姿勢が、回り回って、ブーメランのように、自分たち経営者の側に戻ってきたわけです。ブーメランで自分の首が吹っ飛ぶかもしれません。無論、レオパレスの組織的な違法建築の問題も同根です。

人件費を削減し、かつては社員が行っていたような業務を、アルバイトにアウトソーシングするようなことは、民間企業だけではなく、役所でも、学校でも、大学でも起きています。

そうやって、数多くの人々が、不当に安い給料で働かされているわけです。労働の対価が低いのであれば、誰も努力はしませんし、ひたすら手を抜くことを考えます。まさに私がそうです。

もともと無責任な体質の日本人が、よりいっそう無責任になるのは仕方がありません。

企業が自社に不利益を生じさせることを防ぐには、悪質なパートタイムの従業員に損害賠償請求をするのではなく、そういう無駄な(!)コストがかからないように、非正規雇用の従業員を、責任感が必要な正規社員にして、給料も増やし、労働者の努力や献身を正当に評価する方向にかじを切ることです。

いまのままの「無駄な」コスト削減や「不合理な」合理化に取り組む姿勢を貫けば、従業員の賃金も上がらないのですから、彼らの可処分所得も減りますし、回り回って、自分たちの企業の製品やサービスも買ってもらえなくなるのです。生産者は消費者でもあることを忘れたら、企業が倒産するのは当然です。
自分の会社の従業員に、自社の製品を買えないほどの給料しか払わないのであれば、誰が買うんですか、そんなものを。そんなものは、サステイナブルな経営ではないでしょう。

国を揺るがす不正データ問題…アベノミクス大失敗で国民の暮らし「真の影響」 | 概要 | 日刊大衆 | 社会 | ニュース

連日大騒ぎの官庁の不正データ問題ですが、これも「コスト削減」が原因です。統計を取る仕事をする人の数を減らしているからです。

年収180万円時代がやってくるって、もうすでにきてるんだけど? - ヒキランス(引きこもり+フリーランス)のミニマムな日常

こうなることを国家や企業に許してきた我々一般庶民が悪いのです。給料が低いのであれば、働かないよと、私の子供の頃は大人たちはよくストライキやサボタージュをしていました。ああいうことをしなくなったから、権力者につけあがらせてしまったわけです。結果、権力者は自分で自分の首を絞めているのです。しかし、その結果、労働者も苦しくなっています。こんな竹中平蔵&麻生太郎的な「新自由主義経済」を続けていっても。誰も得なんかしませんね。

諸悪の根源は、カルロス・ゴーンの得意技であるコストカットですよ。「コストキラー」の異名をもつゴーンさんを称賛する「選択と集中」を理想とする人々に、もはや日本は殺されてしまったわけです。自分たちがすでに死んでいることすら気づかないほどきれいに殺されたわけです。

今まさにいろんな企業を襲っている「バイトテロ」を、個人の問題に矮小化してはいけません。

改革は当然、こんなに不健全な今の東証 再編で、1部上場企業の7割が降格という噂も(1/4) | JBpress(日本ビジネスプレス)

先日、たまたま暇つぶしにラジオNIKKEIのマーケットプレイス(株式市場の実況中継みたいな番組)を聴いていたら、同じことを言っている人がいました。従業員を集めるために、一部上場企業になることだけが目的になっている企業が多く、東証もまた彼らを甘やかしてきたというのです。東証は、とうとう、改革に乗り出して、一部上場企業の数を減らすとかなんとか。本当でしょうねえ。

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