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正義の暴走とロックの死 [雑感・日記・趣味・カルチャー]

クリント・イーストウッドが語る、現代社会への警鐘「いつでも“悲劇”は起こりうる」(Movie Walker) - Yahoo!ニュース

クリント・イーストウッドは、映画のクリエーターとして民衆を教化し続けていますね。彼が言いたいのは、ジャーナリズムやSNSの正義感の暴走を食い止めるためには、自分が目にした情報が確実に信頼できるものなのかどうかを検証できる批判的な能力を育てる教育しかないんじゃないかなということでしょう。自分が信じたいように信じてしまうという自らの愚かさを直視し、パースペクティヴ(遠近法)の中に閉じ込められた世界観の外に出る努力を促す機会を積極的に作ることが重要だと思います。

UKロックの「終わりの始まり」が、ブレグジット実施で幕を開ける(川崎大助) - 個人 - Yahoo!ニュース

ロックンロールという音楽は、かつて労働者階級のものでした。(「ロックは嫌いです。私はクラシックしか聴きません」という慶応大学のある文学者がビートルズについての新書を書いていますが、それは私は特権階級の出身ですという意志の表明です。)働いても働いても、特権階級のような暮らしは夢のまた夢。そういう不満を歌にしたのがロックです。ロックの起源は、白人に虐げられたアメリカ南部の黒人が作り出した(リズム・アンド・)ブルースと、イギリスに支配されたアイルランドの庶民の音楽が融合したものだと言われています。ブルースはもちろん貧しい黒人たちの日々の不満を歌にしたものです。アイルランド人もアメリカでは「プア・ホワイト(貧しい白人)」として差別されていました。特権階級に対する彼らの不満を起爆剤としてアメリカで生まれた音楽がロックンロールです。したがって、ロックンロールという名称には、体制を揺らしてひっくり返すという意味が内包されているのです。そんなアメリカのロックやブルースが数年後イギリスで人気になり、ビートルズやローリング・ストーンズが誕生し、その後、イギリスのロックがアメリカに逆輸入されたわけです。それを歴史用語では「ブリティッシュ・インヴェイジョン(イギリスの侵攻)」と言います。ロックの誕生から60年。ロックで大儲けした労働者階級出身者がいつしか莫大な富を築き、それとともに彼らは庶民の心から離れ、一方の庶民もロックから離れていきました。こうしてロックは死んだのです。川崎さんは、労働者階級出身のロックミュージシャンたちが寝返って、イギリスのEUからの離脱に賛成する側に寝返ったことで、ロックの終わりの始まりが始まったと言っていますが、すでにロックは終わっていると私は思っています。日本でも、労働者側の意見を代表しているはずの政党がいつのまにか、既得権益を持っている側の味方である自民党と同じようなことを言うようになってしまいました。日本でもイギリスでもロック的なものはすでに死んでしまっているのです。反体制はダサいという意見が大勢ですからね。腐った権力でも権力者にすがるのが正義みたいに思っている連中がマジョリティです。我々の暮らしている社会は、ロックが人気だった時代の社会よりも遥かに不健康かもしれません。