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飲兵衛をバカ認定する [雑感・日記・趣味・カルチャー]

知人に「7月にでも飲み会を開かないか」と誘われました。即座に、「私は絶対に行きません」と驚くほど正直に答えてしまいました。私を誘ってくれた方も、目を丸くして「コロナですか?」と苦笑いしていました。「いやあ、そうじゃないんです。酒が嫌いなんです」と誤解がないようにはっきり答えました。

率直に言うと、酒飲みも嫌いだし、酒場の雰囲気も嫌いです。食事代だけだったら、せいぜい2,000円程度で済むところを、なにゆえ居酒屋だとで5,000円も7,000円も支払わなければいけないのかまったくわかりません。居酒屋を応援したければ、どうぞご勝手にお願いします。飲食店業界には縁もゆかりもないで、私は願い下げです。

アルコールは懐を痛めるだけではなく、脳にとっても最悪の飲み物です。アルコールは、タバコと同様に国が公認しているドラッグの一つです。ドラッグだと思っていない人も多いですが、麻薬以上に危険なものです。アルコール依存症や認知症につながるだけではなく、様々な側面で体の健康を確実に損ないます。

居酒屋で酒を注文しないと、「それなら、ウーロン茶でも飲みなよ」と促されます。ウーロン茶をビールみたいに何リットルも飲む人はこの世には誰一人いません。ウーロン茶の注文を促す側の人間も、そんなことができないことを知っていながら、飲めない人にウーロン茶を飲ませようとするのです。ウーロン茶なんか、私は1年に1回すら飲まないのに、なぜ酒場で2リットルも飲まなければいけないのかわかりません。それにウーロン茶なんて2リットルのペットボトルで買えば150円程度です。そんなありがたくもなんともないものに1000円も払う馬鹿がいることが不思議でなりません。

「酒が飲めないなら飲めないなりに、食べ物が楽しめるじゃないか」と言う人もいます。だいたい飲めない人間は、酔っ払いが勢いで頼んで余ってしまった刺身を平らげさせらる役目を仰せつけられます。もう食えないという状態なのに、もっと食えと言われ、不快な気持ちになるのが落ちなのです。酒が飲めない人にとっては、飲み会というのは拷問以外の何物でもありません。飲める人にはその気持ちがわからないようです。

たいていの場合、飲める人にとって、飲めない人間を誘うのは、自分が支払う酒代を安く済ませるためです。いいカモなのです。ある正直な飲兵衛が私にそう白状してくれました。

居酒屋などに連れていかれると、たいてい話好きの親分が座を一人で仕切ってしまい、その人のくだらない与太話を数時間聞かされるわけです。お金がもったいないだけではなく、時間ももったいないのです。そんな時間があったら、もっと楽しいことができるのです。自分の人生なのですから、自分の人生を豊かにすることに貴重な時間を使いたいものです。

飲兵衛の中には、偉そうに「飲めない人は社交性がない」とか、「そんなんじゃ、世の中を渡っていけないよ」などと、お説教じみたことを言う人もいます。彼らは自分たちこそがスタンダードであると思い込んでいて、自分の認知の歪みを疑えないのです。きっとアホなんでしょうね。

飲めることがデフォルトなのではなく、飲めない人を尊重し、飲めない人に不愉快な気持ちにさせないようにふるまうことが今の時代のデフォルトなのです。現代の文脈においては、社交性が低いのは、むしろ飲めない人をディスるような人のほうです。それが理解できない人はバカ認定です。もちろん、件の知人はそういう人ではありません。心も広いし、理解のある人です。だからこそ、「酒が嫌い」だなんて正直に言えるのです。




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