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渋谷実監督『十日間の人生』(1941年、松竹) [映画]



井上正夫は渋い演技をしますね。初めて見ました。時代劇のスター高田浩吉は美男子だし、田中絹代は当時31歳。健気で可愛いです。若大将シリーズで有名な飯田蝶子さんは、43歳くらいですけど、すでに完全なおばあさんですね。渋谷実は『本日休診』(1952年)の監督です。

1941年の映画ですが、戦時下にあったわけですから、択捉(えとろふ)では何をしようとしていたのでしょうか。高田浩吉は「半年で帰ってくる」と言っているくらいですから、開拓事業の一環でしょうか。Wikipediaによると、1940年には「海軍が飛行場を整備し始める」と買いてあります。送り込まれた男たちは、飛行場建設の肉体労働かもしれません。女たちは彼らの食事の世話などかもしれません。もし田中絹代が択捉に行くことになったら、どうなってしまっていたのか、考えただけでもぞっとします。敗戦後、ソビエト軍が北方領土を占領し、在留日本人に強制労働をさせ、多くの死者を出しました。その歴史を考えたら、怖い映画です。この映画のタイトルにある「十日間の人生」とは、択捉島では10日も生きられないということを表しているのかもしれません。


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