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作家・平野啓一郎が見通す「新型コロナの2020年代」――「自分さえよければ」という生き方では社会が壊れる - Yahoo!ニュース [雑感・日記・趣味・カルチャー]

作家・平野啓一郎が見通す「新型コロナの2020年代」――「自分さえよければ」という生き方では社会が壊れる - Yahoo!ニュース

実は、平野啓一郎さんによれば、鴨長明も、私と同じような認識だったそうです。鴨長明の生きた時代は「火事・竜巻・飢饉・地震という不幸のオンパレードで人が死に続け」る社会でした。日本史を少しかじっただけで、奈良や平安の時代あたりは、道端には病気や飢餓で野垂れ死にした人間の死体がゴロゴロと転がっていて、野良犬がその死体に食らいついている光景を見るのが日常だったということがわかります。非常に不安定な社会だったわけです。

依然として、日本が災害が多い土地であるという状況は変わっていません。そんな日本では、災害の少ないヨーロッパのように安定した生活を送るのは難しいのかもしれません。現代の「持続可能な社会」というのは、ヨーロッパ的な発想であって、災害の多い日本には向かないのかもしれません。

いくらお金をかけて立派なタワーマンションを建てても、台風でドブ川が氾濫しただけで、住めなくなってしまうようなことが起きるのです。江戸時代では、江戸の町では火事が多かったし、資産を持っているような人もほとんどいなかったから、安普請の長屋ばかりでした。それも不安定な社会を反映したものですね。

そんな不安定な社会というのは、相互扶助の社会ではなければ存続しません。自分のことだけを考え、困っている人を見捨てることができるのは、安定した社会で、自分の暮らしを守れる資産を持っている人たちだけです。そんな特権を前提にした社会の構築は、今回もまた、日本には合わないことを示したのだと思います。しかしながら、喉元過ぎれば熱さを忘れるというくらいで、学習をしない人々はすぐに忘れてしまうのです。

「コ+ロ+ナ=君」 会えない思い、希望をつなぐ短歌に [新型コロナウイルス]:朝日新聞デジタル