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【朗読】太宰治『カチカチ山(お伽草紙より)』 [本]



太宰は「カチカチ山」のタヌキを婚期を逃した色黒のブ男(37歳)に、ウサギをアルテミスを思わせる冷徹な16、7歳の処女に見立て、単純明快な勧善懲悪のお話ではなく、太宰自身がタヌキそのものであるかのようにタヌキに同情を寄せるように描きなおしています。太宰は物語から一切の道徳的な教訓を得ることを拒否し、文学者らしく「惚れたら最後」という運命論を語っているところが素敵です。男とは、惚れてはいけない女にこそ、惚れてしまうものだという太宰の恋愛観が反映されているのかもしれません。間違っても、これは男女差別という紋切り型の観点で読んではいけない作品です。



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