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ゴダールが死んだ! [映画]

Jean-Luc Godard, giant of the French new wave, dies at 91 | Jean-Luc Godard | The Guardian

Jean-Luc Godard: Legendary French film director dies at 91 - BBC News

私は学生時代にゴダール作品を観まくりました。同じ作品を何度も繰り返し観たということです。どうしてそこまで惹かれたのかわかりませんでしたが、いまは言語化できます。私なんぞが偉そうに論評するのはおこがましいのですが、ゴダールは物語をぶっ壊したのです。若きの私は、そこにリアルなものを感じ取っていたのです。

通俗的な小説や映画に展開される物語は現実ではないことは誰もが百も承知です。しかし、我々は生の現実を物語化して理解しようとしていることに無自覚です。それが嘘っぱちだと見破ったのがゴダールなんです。ゴダールの作品では、目の前で人がピストルで撃たれて死んでも、淡々と時間が進み、何事もなかったかのように人々の生活は続きます。誰の人生観にも何の影響も与えません。それが生の現実なのです。それを視界の曇った我々に投げつけたのが、ヌーベルバーグ作品だったと私は認識しています。

ゴダールが死んだということは、我々が享受しているインチキな物語を俯瞰する視点を失ったということかもしれません。もし悲しむのであれば、それを悲しむべきです。

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