大江健三郎 ノーベル賞への旅

日本人として、世界に貢献するには憲法9条に基づく非戦の思想を伝えることなのか、それとも憲法を変え、国のあり方を変え、他の平凡な国と同様になって、軍隊を派遣し、曖昧模糊とした「正義」のために戦うことなのか。しかし、その行為は太平洋戦争で残虐の限りを尽くしたアジアへの謝罪を裏切ることそのものである。我々は軽々しく、「憲法改正」などという文句をお経のように唱えるのではなく、自分たちが極めて難しい立ち位置にあることを自覚しなければいけないというのが、大江さんの遺言なんだと思いました。