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ジレットのCMが話題 [コンピュータ・ネット・テレビ]

CNN.co.jp : 米ジレットがセクハラ問題に立ち向かうCM、消費者から賛否の声

(使い捨て)カミソリの会社として有名なアメリカのジレットが作ったCMが話題になっているという。

そのCMは、社会が男性に要求し、男性が(不承不承)受け入れている「男らしさ」という固定観念を疑うものとなっている。CMに批判的な人もいるらしいが、私は好意的に受け止めた。

CMの前半で、大人の男たちが、男の子同士が喧嘩をしているのを腕を組んで傍観しながら、「男の子は男の子だよ」と言って放置しているシーンが流れる。しかし、後半に、一人の男性が意を決して喧嘩を止めに入り、「友達を平等に扱わないと駄目だよ」と言っていじめっ子を叱るのである。他にも、同じような仲裁の場面が流れ、小さな男の子たちがそれを見て、感心する様子が映る。

「子どもたちは大人の背中を見て育つのだから、これからの社会のあり方は、君たちが決定するのだよ」というメッセージを、大人の男たち(傍観者たち!)に突きつける。(トランプ大統領と中国やメキシコ、安倍総理とロシア、日本と韓国、日本とフランス、日本本土と沖縄など、子供っぽい喧嘩ばかりが目につく時代に私は嫌気が差している!)

これに反発し、侮辱されたような気持ちになる男たちは、時代の流れにまったくついてきていないのだろう。喧嘩の仲裁以外のシークエンスとしては、セクシーな女に惹かれて声をかけようとする白人男性を、黒人男性が止めるものがあったり、女性のお尻を触る男性を見て、笑い転げる男性たちを映すものもある。それらを含めて、このCMはこれまでのマッチョな男性像を突き崩すものとなっている。お金もあるし、武器もたくさんある。便利なガジェットもたくさんもっているけれど、知性も感性も決定的に欠如している野蛮人は君たちの方だぞというわけだ。

民主主義社会の究極的な目標は、多くの人々が幸せに暮らせる社会を構築することだ。いまはまだ、誰かを犠牲にしたり、誰かを侮辱したり、誰かの権利を侵害したりする「強者」を「弱者」が黙認する時代が続いている。ヒトラーがナチズムという考えを持って構築しようとした卑しい社会への渇望は、恐竜が鳥に進化したように、いまだに我々の体内に残存している。

これに対するアンチテーゼを示すCMは、卑しいニッポンでは、けっして作ることができないと思う。さすが、アメリカだ。素晴らしい。「♪カ〜モン、ベイビー、アメリカ!」

余談になるが、近頃のアップルのCMを見ていると腹が立つ理由がわかった気がした。要するに、私を激怒させるのは、アップルが金持ちの味方になったことにある。かつてのアップルは、ヒッピーの思想にかぶれたスティーブ・ジョブスの影響下で、社会を支配するものの見方を壊したり、軍や大企業が使うだけのものだったコンピュータを一般庶民が使えるように安く提供してくれた会社という見られていた。ところが、今は、アップル製品は、Windows PCやAndroidスマートフォンの数倍の価格で販売され、庶民の手が届かないところへ行ってしまった。スティーブ・ジョブス亡き後のアップルは、自らのブランド価値を高めるために、大した性能でもないのに、価格を吊り上げ、エルメスとかグッチやアルマーニみたいなものにしてしまった。いまのアップルはひどく格好悪いものになってしまったと思う。




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