SSブログ

ジョン・ケージ、吉本隆明 [雑感・日記・趣味・カルチャー]

John Cage musical work changes chord for first time in seven years - BBC News

ドイツのある教会で、ジョン・ケージの作品をずっと流し続けていることを初めて知りました。パイプがコード(和音)を奏でているようですが、そのコードを7年ぶりに変えたそうです。この曲は可能な限りゆっくりコードが変化していくという実験的な曲だそうです。

ジョン・ケージと言えば、「4分33秒」という沈黙の作品が有名です。私は学生時代に友人とともにあるコンサートに行き、女性のピアニストが「4分33秒」を奏でる(?)のを聴いたことがあります。ピアニストが登場し、椅子に座り、ピアノの蓋を開け、鍵盤を眺め、4分33秒後に、蓋を閉じて退場するというものです。インテリな聴衆はそんなことは百も承知なので、きちんと拍手をし、和やかな雰囲気で終わりました。非常に印象的なコンサートでした。もしかしたら出演者はプロのピアニストではなく、素人だったのかもしれません。しかし、それだとより一層嘘くさくなるので、やはりプロのピアニストだったのでしょう。様になっていましたし。

社交的な人々は「ひきこもる力」をわかってない | ワークスタイル | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準

ジョン・ケージ同様、吉本隆明は20年くらい前に亡くなっているので、記事に名前がクレジットされていたので、びっくりしました。吉本隆明の亡霊が現れたのかと思いました。ませたガキだった私は高校1年のときに、吉本隆明にどっぷり浸かりました。晩年の吉本が、引きこもりのススメを書いていたことをなんとなく覚えています。

現代社会は、人間を家の外に追い出し、時間を細切れにしてしまいましたが、やはりまとまった時間を過ごしことが人間の幸福につながると思います。ビジネス書の熱心な読者はスキマ時間の有効活用を勧めますが、ひとかたまりの時間を生み出せるように社会を変えることを勧めてほしいものです。

吉本が書いている通り、社会は他人とコミュニケーションを可能にする言語の育成を要請しますが、しかし、引きこもることで、自分自身を豊かにする内部の言語を育てることが可能になり、自分自身だけではなく、他人の内臓に響く言語を育ててくれます。吉本はそれを「第二の言語」と呼んでいます。「奥が深いなあ、ちゃんと考えているんだなあ」と思わせるような言語です。引きこもることは言語に意味ではなく、価値を与えると述べています。実に、深い考察です。スキルとかなんとか術とかが書かれた底の浅いビジネス書とは違いますね。