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私の膝に男性が倒れてきた。 [雑感・日記・趣味・カルチャー]

帰宅列車の中、座席でウトウトしていたら、ガタンと揺れた拍子に、私の左膝のあたりに人の体が当たった。よくあることだと思って、パットを目を開いてみたら、斜め左に立っていた若いサラリーマンがスローモーションで床に倒れて行く途中だった。その様子は、ジャイアント馬場の16文キックを受けたアブドーラ・ザ・ブッチャーがマットに沈む姿を想起させた。

私は何ひとつ言葉をかけられぬまま、彼の顔を観察し、次にどんな行動をすべきか考えていると、彼は床の上で泥酔した人のように眠り始めたかのように見えた。しかし、すぐさま顔と手をピクピクさせ始めた。隣にいた同僚らしき男性が呼びかけると、彼は意識を取り戻し、カッと目を開けた。そして、彼は同僚の手を借り、力なくフラフラっと立ち上がった。

彼の前の座席に座っていた人たち2人がすぐさま立ち上がり、彼に座席を譲ってやった。私も立ち上がったのだけれど、ちょうど手すりで遮られていたので、私が譲る必要はなかった。

彼は放心状態のまま座席に腰掛けた。2駅ほど進んだところで、感情を失ったかのような状態で、苦笑いを浮かべる同僚とともに降りていった。彼は疲労のせいで、立ったまま眠ってしまい、私の膝に胸を打って気絶したという可能性もあるが、19時過ぎだったので、低血糖か貧血だろう。彼はブラック企業で朝早くから夜遅くまで働かされているのかもしれない。突然の出来事で驚いたが、最悪の事態にならずに済んで良かった。

自宅から数十歩のところでスマホの画面がピカピカしているのに気づいた。電話だった。出ると母親の明るい声が聞こえてきた。先日、慢性硬膜下血腫で手術を受けた父のことだった。案の定、手術の結果、認知症の症状が改善し、近々退院することが決まったそうだ。リハビリは自宅で行うのだそうだ。硬膜下血腫は左側だったので、歩くときに右半身が若干ぎこちなくなってしまったというが、頭もしっかりしているので、近所を散歩したりして、懸命にリハビリに励めば、数ヶ月後には旅行にだって行くことができるようになると思う。

とにかく、よかった、よかった。