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マインドフルネス [雑感・日記・趣味・カルチャー]

昨晩、次男と長話をし、"Carpe diem"という言葉を教えました。「今を生きろ」ということだよと。「人間は過去と未来ばかりに目が行って、今を大切にしないものなんだよね」と話すと、次男は「夜寝る前に将来ついてあれこれ考えてしまって寝られなくなる」と言い出しました。「このごろは小学生の頃に戻りたいと本気で考えることがある」と。子供というのは、一日中真剣に遊んで、疲れ果てて、すっと寝るだけですから、まさに今を生きています。でも、大人になると、過去の体験や経験と、未来への不安と恐怖に縛られて身動きが取れなくなるものです。人が子供時代へ戻ることに憧れるのは、そういう理由なんでしょう。

うつ病などの精神的な疾患を、かつての心理学では、自分が「過去」に経験したトラウマに起因するものと見なしていましたが、それをアドラーが「未来」に起因すると位相転換をしました。私はどちらも正しいと思います。人間は過去と未来に縛られて、今に集中することができていないからです。

アメリカで流行しているマインドフルネスはもともと道元禅師の曹洞宗(うちの実家の宗派!)の考え方に由来するもので、その宗教色を脱色し、世俗化したものです。いまに集中する方法として、ヨーガの呼吸法なども取り入れています。

そういう瞑想や呼吸法を通じても、今を生きることはすべての人にとって極めて困難です。一時的に達成することは可能ですが、すぐに将来不安へと引き戻されてしまいます。人間とは因果な生き物なのです。

それでも過去や未来から逃れる努力をする価値はあります。コロナ禍で気づいたのですが、私にとって今を生きるための方法として、楽器練習が機能していると思います。練習をしている最中は完全に今に集中しています。TAB譜を目で追いかけ、必死にその音を出そうと手を動かしているので、それ以外のことなど何も考えられなくなります。しかも、調子がいいときは、気づいたら、あれ、数日前には弾けなかったところが弾けるようになってきているなとか、だいぶ良い音が出せるようになっているなあ、なんてことに気づくことがあります。その違いは明確なので、自分の成長を耳で(五感で)確認できるのです。

結局、何が言いたいかと言うと、今を生きる方法は、瞑想や呼吸法に限らないということです。自分が好きなことに集中できる環境を整えることがもっとも幸福感を得られるものです。人間は自分の持ち時間の大部分を生きていくためのお金を稼ぐ時間に割かれてしまいますが、インターネットのゲームでも何でもいいので、今に集中できるような趣味を持つことが生活の質を高めてくれると思います。また、人間は過去と未来に支配されているという認識を持つことも過去と未来から逃れるためには不可欠です。いわゆる「メタ認知」を稼働するわけです。何も考えるなというのは、禅僧でも難しいので、我々のような俗人にできることは、それくらいでしょう。

マインドフルネスとは?定義と意味、マインドフルネス瞑想の実践方法と効果、メリットとデメリットについて説明します | LITALICO仕事ナビ