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教師はもっと尊敬されてもよいと思う。 [資格・学び]

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日本では、教師は不当に低く評価され続けている。たとえば、子供の頃からずっと学校の外には出たことがなく、民間企業で働いたことがないので、社会を知らないと嘲られる。そんな根拠のない偏見を持っている人がおそらく99%だろう。しかし、我々は誰もが「社会」で暮らしており、社会を知らない人間はおそらくいない。教師は民間企業の労働習慣は知らないかもしれないが、一般の労働者と同じように社会を知っているし、社会の中で暮らしている。

教師というのは、実は、きわめて能力が高いし、高度なスキルを駆使できないとやっていけない職業である。

その能力というのは、教科について子供にでもわかるように平易な言葉を使ってわかりやすく教えられることだけではない。それを子どもたちの記憶に残し、活用させる機会を生み出すこともできる。人前で話す能力、子どもたちをまとめる能力、子どもたちの様子を観察し、健康を管理する能力、さまざまなものを整理・管理する能力、親や同僚との関係を円滑にするコミュニケーション能力など、「社会人」を自称するふつうの会社員以上に、高度なスキルをマルチタスクで駆使していかなければいけない。教師とはそういう職業である。

いまの学校には、そんな高度な能力を持つ人間を惹きつけ、とどめておく魅力がなくなってきている。たしかに安定した給料や多額の退職金は期待できるが、あまりに期待されることが多すぎて、1人の人間がすべきことを大幅に超えている。それに比べたら、民間企業の仕事のほうがはるかに簡単かもしれない。

なぜ教師は社会を知らないと言われるのか。それは教師の役目が権力者の利益に反しているからである。教師は、子どもたちを奴隷ではなく、自分の考えと意志を持って行動する自由人に育て、奴隷を自由人に戻す仕事をしている。いうなれば、民主主義を維持発展させることが仕事なのである。一方で、権力者は、民主主義を破壊し、労働者を自分たちに奉仕する奴隷にし、自分たちの利益のみを拡大することを目指している。このように、教師は彼らの利益に反している存在だからこそ、企業経営者や政治家や官僚が教師を否定的に捉えるのだ。

一般の人々が、教師は社会を知らないと思い込まれているのは、彼らが権力者の奴隷でしかないがために、権力者の言葉を何も考えずにそのまま受け入れてしまっているからである。

この現状を打開するという動きは一切ない。労働者も、自分の利益のみを確保することに腐心しているだけで、社会を良くすることを一切考える能力を失ってしまってしまっている。自分が所属する組織の利益を拡大させることが社会を良くすることだと思い込み、それ以外の世界に目を向ける能力を失っている。自分が奴隷であることさえ気づくことができないほど、奴隷は奴隷化されてしまっている。その点においても、教師よりも会社員の能力は低いと言わざるを得ない。

本来、社会の主人公であるべき労働者が自己奴隷化を止める可能性は極めて低い。大企業と政治家や官僚が結託している厚い岩盤を爆破し、「特権階級」に唯々諾々と従って労働するだけの機械であることを止める日は、我々が生きている間には来ないだろう。

しかし、その日が来ることを期待しながら、教師は日夜教育に励んでいるのである。教師は社会にもっと尊敬されてもよいと思う。