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学習における3つの段階 [音楽・楽器]

夏休み真っ只中で暇を持て余す私は、『工工四百選集』の正と続の2冊、合わせて208曲をひとまず全部弾いてみるというチャレンジを行っています。(どうしてもできないものは飛ばさざるを得ませんが。)暇ではないとできないことができるのが長期休暇の醍醐味です。

基本的に私は独学志向の人間ですが、習い事をすると、いつも気づくことがあります。どんなことでも、学習の段階にはある共通点があるということです。楽器を学ぶことも、スポーツのトレーニングも、料理をするのも、語学学習もまったく同じです。学習の流れは以下の順番で進みます。

1.基本的なことが無意識に使えようになるまでトレーニングする
2.数多くの教材に触れながら、その中で自分で法則やパターンを見つける
3.見つけ出した法則やパターンを組み合わせて応用する

1番の基本的なこというのは、たとえば、楽器の場合は、ポジション(勘所)やコードを覚えることです。ポジションは距離の感覚を手に覚え込ませるだけのことです。いちいち頭で考えていては音に追いつきません。その作業は、スポーツの場合に当てはめれば、筋肉を鍛え、体を思い通りに使えるようにする訓練です。料理であれば、素材や調味料の使い方を覚えることです。これにはかなりの時間がかかります。だからこそ、この段階で嫌になって諦めてしまう人が多いのです。

その大きな壁を乗り越えて、基本が身についてくると、多くのものに挑戦したくなります。音楽の場合で言ったら、急にいろんな曲に挑戦したいという気持ちになるということです。料理なら、多種多様なものを作ってみたいということです。武術の場合で言ったら、数々の型を練習したいということです。そんなことをしているうちに、無意識のレベルなのでしょうが、それらに共通するシンプルな法則やパターンが見えてくるのです。中心軸ができるということです。そこまで行くと、「ああ、あれはこれをちょっと応用すればいいのね」と余裕が出てきます。そこまで行けば中級レベルでしょう。

この段階の初期は、広く浅くを心がけ、完成は目指さないほうがいいと思います。できることを7割から8割、できないことを2割から3割程度に抑えて楽しむようにするのがようでしょう。できないことばかりが続けば、この段階で挫折してしまう危険性があるからです。

この段階を通り抜けると最終地点の3番にたどり着きます。音楽の場合だったら、自分で曲を作ったり、既存の曲をアレンジしたり、耳コピしたりできるということでしょうし、料理だったら、創作料理を楽しむことでしょうし、語学だったら、文章を書いたり話したりできるということです。そこまで進めれば、ほんとうに楽しむことができるようになるのでしょうね。

以上、ものごとの学習段階を3つにまとめてみました。多くの人たちはいったん何かを始めても、第1段階で終わってしまうものです。そこが一番つらいところですからね。ギターの場合ですと、弦を押さえる指先が痛くて我慢できないとか、Fなどのバレーコードが弾けずに、イライラするとかですね。しかし、それを通り抜ければ、楽しいことが待っているのです。長期の休みというのは、そんな学習ができる大きな機会です。大切な時間を無駄にしないようにしたいものです。

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音楽が得意だから数学も得意で、数学が得意だから音楽も得意という因果関係は成立しないと思いますが、学習のパターンは共通しているので、学習方法の訓練にはなります。