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テレビが発するダブルバインドのメッセージにイラつく日々 [雑感・日記・趣味・カルチャー]

コメンテーターになぜこうもイライラするのか | コロナショックの大波紋 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準

私もテレビを見るたびにイライラしていました。

その原因は、テレビが発しているメッセージがダブルバインドになっていることに、テレビ番組の製作者側が自覚的ではないことにあります。専門家と素人の連合軍を通して、テレビが視聴者に対して発しているメッセージは「おまえらは家にいろ」「貧乏人は黙っていろ!」の2つです。

他の人を守るために外出の自粛を求めることは、同時に経済的に困っている人をよりいっそう困らせることになるわけですから、矛盾しています。その矛盾を解消するために、高級レストランに卸されるはずだった野菜やら食材が売れないから、通販で買ってほしいとか、客足の途絶えたレストランや居酒屋のランチの持ち帰りを利用しようとかいうのです。しかし、実際にお金に困っている人も多いし、ほぼすべての人が将来不安を抱えているわけですから、そんな不要不急の高級食材など買う余裕もありません。加えて、ランチの持ち帰りを利用しろと言われても、それは外出しろと言っているわけですから、アクセルを踏みながらブレーキを踏めと言われているように思えます。

そういうダブルバインドのメッセージを発していることを認識できないアホさ加減に私はイライラを禁じえないのです。私は、どの専門家が悪いとか、どの芸能人が気に食わないとか、そういう個別の問題を語っているのではなく、テレビが総合的に発しているメッセージが、よりいっそう庶民を惑わせるばかりで、安心材料を与えないのが不愉快に思えるのです。
コメンテーターの一部は、もしかしたらこのダブルバインドを感じ取って、政府批判をしているのかもしれません。しかし、心の底から、政府を批判しているような印象はありません。プロレスみたいな芸として、お金儲けの手段としてやっているようにしか見えないのです。だからこそ、そういうテレビ番組のフレーム(額縁)の下には、庶民をあざ笑うようなタイトル(たとえば、「愚かな庶民」とか「学ばない庶民」とか「暇を持て余す庶民」とか)がつけられているように感じるのです。

おそらく、コロナ禍を生き延びた人間たちは、悲しいことに、自分たちの愚かさを認識できないまま、死んでいくのでしょう。