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【朗読】太宰治『桜桃』 [本]



「子供より親が大事」で有名な作品です。この作品も高校生の時以来何度か読んでいます。この場合の親というのは、自分たちの親というわけではなく、自分(たち夫婦)ということです。親は子供のことばかり考えて、自分の生活をおろそかにしがち。結果、ささいなことから夫婦の間に亀裂が生じ、妻の胸の谷間に悲しみの涙が滴り落ちることになるわけです。もっと自分たちのことを大切にしなければいけないと考え直させてくれる作品でもあります。

この朗読を聴いていると、主人公が太宰自身かどうかは別として、太宰もまたHSPだったにちがいないと思ったことです。だからこそ、HSPである私は太宰に惹かれたのでしょう。妻に言いたいことをほとんど言えず、自分の中で鬱屈と溜め込んでいる様子がまさに自分と重なります。この作品は、年令を重ねると、ますます理解が深まるようになる作品に思えます。

私は下戸ですから、この夫婦げんかの小説の主人公のように飲んで憂さ晴らしはできませんが、このいやな心のわだかまりをなんとか断捨離したいものです。