かつてゴールドベルク変奏曲は不眠症に悩むヘルマン・カール・フォン・カイザーリンク伯爵のために作られたもので、睡眠導入剤的なイメージで語られていたことがありました。しかし、あの曲を聴いて眠くなる人はまずいないでしょう。それもそのはず、元気になるための曲だったそうな。変奏しているのはバスの部分で、そこでリズムにヨーロッパ各地の民謡(サラバンド、ジークなど)を取り入られており、素養のある人たちは、それらを聴いて面白がっていたという。こういう分析的な聴き方ができると本当に音楽が楽しめるような気がします。知は力です。