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ジャン=リュック・ゴダール監督『男性・女性』(1966年) [映画]

男性・女性 - Wikipedia
男性・女性 [DVD]

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  • 出版社/メーカー: KADOKAWA / 角川書店
  • 発売日: 2019/04/24
  • メディア: DVD



おそらくこの映画はこれまでに数十回観ています。数十回です。十数回ではありません。私がもっとも好きな映画なのです。小津安二郎の『東京物語』は2番目に好きな作品です。

『男性・女性』はゴダールファンにとって影の薄い作品かもしれません。しかし、私にとってジャン=リュック・ゴダールと言えば、『勝手にしやがれ』でも『気狂いピエロ』でもなく、『男性・女性』です。『勝手にしやがれ』でも『気狂いピエロ』はそれぞれ4回くらいしか観たことがありません。

パリの若者たちが無駄にしゃべって、無駄なことをしているだけの映画です。シーンが乱雑にカットされたり、音声が消えたり、セリフがノイズでかき消されたり、無駄に人が殺されたり、それこそ人生そのものです。ストーリーなんてあってないようなものです。自分の人生や社会を変えたいんだけれど、どうにもならない焦燥感やもどかしさをリアルに描写したヌーヴェル・ヴァーグの傑作だと思います。

主役はジャン=ピエール・レオーとシャンタル・ゴヤなのですが、若い頃の私のアイドルはシャンタル・ゴヤでした。彼女の父はフランス人で、母はカンボジア人なのだそうです。だからこそ親近感が持てるお顔だったのです。結婚するなら、彼女みたいな顔の女性がいいなあとずっと思っていましたが、ついぞその夢は叶いませんでした。シャンタル・ゴヤは現在78歳だそうです。いまだ現役で子供のための歌を歌っているそうです。ジャン=ピエール・レオーは76歳、ゴダールは90歳とのこと。

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どうでもいいことですが、ここにシトロエンの2CV(ドゥ・シヴォ)が映っていました。作品の最初の方でもシトロエンという単語が出てきます。このクルマはうちの近所で乗っている人がいます。これと同じ型式だから、55年くらい前のクルマだと思います。すごいですよねえ。ぽんぽん船みたいなエンジン音がします。

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シャンタル・ゴヤに気のあるジャン=ピエール・レオーが彼女を口説こうとする場面ですが、まだ仲良くなってもいないのにシャンタル・ゴヤが「世界の中心は何か」などという存在論的な疑問をジャン=ピエール・レオーにぶつけます。彼は「愛」だと答えますが、彼女は「私の答えは違う。世界の中心は自分
だと思う」と答えます。

若い頃の私は、ジャン=ピエール・レオーの答えに同感でした。しかし、いまは違います。かといってシャンタル・ゴヤの答えにも賛同できません。今の私の考えは、世界の中心は、「空虚」です。気がついたら、ニヒリスト(虚無主義者)になっていました。


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女性的なるものには終わりが孕んでいるのでしょう。



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これは2021年3月9日の記事です。



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