冨島佑允、『数学独習法』 (講談社現代新書、2021年) [本]
7月末に注文した本ですが、なかなか読む気になれませんでした。数日前にようやく奮起して読み始め、先ほど読み終わりました。この本の趣旨は、数学の全体像を文系の人にも理解してもらうことです。とはいえ、文系の私には、わかったようなわからなかったような状態です。
タイトルも『数学独習法』とありますが、「独習って何?」という印象です。内容を的確に表しているタイトルではない気がします。それはそうとして、数学の苦手な私にでもわかったことを簡単にまとめておきます。
数学には4つのカテゴリーがあり、代数学、幾何学、微分積分、統計学に分かれています。もちろんお互い有機的につながっています。代数学は仮説で考える学問。幾何学は図形にして考える学問。微分積分は変化する物事を単純化して考える学問。統計学は全体(の傾向)を見る学問。さすがにそれくらいのことは本を読む前から、私でもわかっていました。著者はこういう考え方をビジネスに応用することを勧めています。それも会社勤めの方たちはすでに知っていることでしょう。
特に私が「へえ」と思ったのは統計学についてです。統計学には3つの分野があって、記述統計学、推測統計学、ベイズ統計学に分かれています。記述統計学はデータの特徴をわかりやすく記述するもので、統計学の土台。推測統計学はアンケート調査のように一部から全体を推測するもの。ベイズ統計学は新しいデータをその都度学習し、将来の予測をするもの。ベイズ統計学がビッグデータ分析、AI予測、自動運転、迷惑メールのフィルター、がん検診などに使われているわけです。
この本は今年の6月に出たばかりということもあり、新型コロナウイルス感染症を例に取って説明してくれているところがあります。その工夫は良いと思いますが、残念ながら私の頭では理解できませんでした。
以前、消化不良の状態です。高校で数学をいま学んでいて、こんなことを学んでいて何の役に立つの?という疑問をいだいてしまった人たちには一読をおすすめします。
いい忘れましたが、「三角関数」のところも面白かったです。私にはその面白さを伝える能力がないので、是非ご自身で読んでみてください。