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【簿記2級 商業簿記】2023年度版テキストP403 連結会計②連結第1年度の仕訳の動画解説 [簿記]



「連結第1年度の連結会計」の手続きは、前期末の連結修正仕訳を書き直すところから始まる。これを「開始仕訳」という。子会社の支配獲得日の「投資と資本の相殺消去の連結修正仕訳を再びするのである。X0年度の貸借対照表の子会社株式と資本金・資本剰余金・利益剰余金を「投資と資本の相殺消去」したはずが、X1年の貸借対照表を見るとまた復活している。開始仕訳はそれを再び取り消すための処置である。開始仕訳を書くときには、純資産の科目には「(期首)」をつけておくことを忘れないように。

その上で、「当期の連結修正仕訳」を書く。内容は以下の通り。

1. のれんの償却
2. 子会社の当期純利益の振り替え
3. 子会社の配当金の修正

連結会計で行うことは大きく分けて2つ(「資本連結」と「成果連結」)だが、ここでは「資本連結」を行っている。

支配獲得日X1年3月31日には、連結貸借対照表のみを作成したが、連結第1年度のX2年3月31日には、連結貸借対照表と合わせて、連結損益計算書と連結株主資本等変動計画書も作成する。

1番の「のれんの償却」というのは、ソフトウェアなどの無形固定資産の減価償却と同じような処理をする。のれんはブランド価値だから、同様に毎年定量的に下がっていくと考える。償却期間は問題文の中で10年などと指定されるので、それに従う。

Q1の問題に関しては「のれん」は10,000で、償却期間は10年ということなので、仕訳はこうなる。

のれん償却 100 / のれん 100

2番の「子会社の当期純利益の振り替え」は、子会社の当期純利益の一部を、「非支配株主持分」(純資産)に回すことを指す。この問題としては、S社の当期純利益は30,000だから、そのうちの40%を「非支配株主持分」にする。仕訳はこうなる。

非支配株主に帰属する当期純利益 12,000 / 非支配株主持分 12,000

「非支配株主に帰属する当期純利益」は費用の勘定科目である。

この処理によって、親会社と子会社の当期純利益を連結した金額は60,000+30,000ー12,000=78,000になる。

3番の「子会社の配当金の修正」は、子会社が親会社に対して行った配当を内部取引として相殺消去することである。

親会社は子会社の株式を持っているので配当金を受け取る。一方、子会社は繰越利益剰余金を減らし、未払配当金を計上した後、実際に現金で配当金を払い、未払配当金を取り消す。しかし、この現金は、連結会計を取る同じグループ間での現金の移動に過ぎないのだから、それを打ち消さないといけない。さもないと不当に利益を増やす不正会計を許すことになってしまう。したがって、受取配当金(収益)はなかったものとするために、左に持っていき、利益剰余金(純資産)(連結会計では繰越利益剰余金は利益剰余金にカテゴライズされる)も右に戻して、何もなかったことにするのである。


子会社の配当金の金額としては10,000だから、親会社の受け取り分としては6000、非支配株主持分は4,000となる。

子会社としては、以下のような仕訳をしている。

利益剰余金 10,000 / 現金 10,000

親会社は子会社からの配当を受けたときには、以下のように仕訳をしているはずである。

現金 6000 / 受取配当金 6000

そこで、受取配当金(収益)と利益剰余金(純資産)の取り消す仕訳をする。

受取配当金 6,000 / 利益剰余金 6,000

受取配当金は収益の勘定科目だから、ホームポジションは本来右である。それを左に持ってくると取り消す効果がある。利益剰余金は純資産の勘定科目であるから、右である。ホームポジションに戻すということは、減らさないという意味になる。

非支配株主持分(純資産)4000も減らすので、右に持っていく。相手科目は利益剰余金である。

仕訳はこうなる。

非支配株主持分 4,000 / 利益剰余金 4,000 

この二つを合算すると、次の仕訳になる。

受取配当金   6,000  / 利益剰余金 10,000
非支配株主持分 4,000 

こういうふうに論理立てて考えると難しいものがより一層難しくなるので、もっと簡単に考えるべきでしょう。

利益剰余金10,000は子会社の配当金そのものです。それを右に戻して取り消しているということです。受取配当金6,000も非支配株主持分4,000も左に書くことでなかったことにしているわけです。これが「子会社の配当金の修正」です。子会社が親会社に対して行った配当を内部取引として相殺消去し、合わせて非支配株主持分も消しているのです。


Q3のX1年度の連結貸借対照表に計上されるのれんの金額は、10,000−1,000=9,000。1年目ののれん、すなわちブランド価値は1年分減っただけで、まだ9年分残っているということである。

Q4のX1年度の連結貸借対照表に計上される非支配株主持分の金額は、開始仕訳や連結修正仕訳で書いたものを加減算して算出する。開始仕訳のときの80,000と、子会社の当期純利益の振り替えのときの12,000をプラスして、子会社の配当金の修正の4,000をマイナスする。金額は88,000となる。









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