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簿記2級 商業簿記】2023年度版テキストP434 連結会計⑤貸倒引当金の調整の動画解説 [簿記]



資本連結の後に来る「成果連結」の続きです。

ここでは、親会社と子会社間の売掛金と買掛金の相殺消去に伴って、貸倒引当金の調整作業を行います。親会社から子会社に商品や土地を売ることをダウンストリームと言い、その逆がアップストリームと言います。ここではダウンストリームを取り上げます。

Q1は、ダウンストリームで、開始仕訳を必要とする貸倒引当金の調整の問題です。

まずは、「当期の開始仕訳」を書きます。売掛金と買掛金の相殺消去の開始仕訳は不要とのことです。貸倒引当金の額は、問題文の「前期末におけるS社に対する売掛金残高は80,000円」を使います。「毎期4%の貸倒引当金を設定しており」とあるので、80,000×4%=3,200です。3,200の貸倒引当金を取り消します。貸倒引当金は負債の科目なので、ホームポジションとは反対の右に書きます。相手科目は、貸倒引当金繰入とはしません。これは前期以前のものであって、すでに前期末の連結会計で費用と収益の科目は「利益剰余金(期首)」に振り替えられて(置き換えられて)いるからです。

貸倒引当金 3,200 / 利益剰余金(期首) 3,200

次に当期の連結修正仕訳を書きます。問題文には「当期の個別財務諸表において、P社は売掛金期末残高300,000円に対して毎期4%の貸倒引当金を設定しており、売掛金期末残高のうち100,000円がS社に対するものである」とあるので、このP社のS社に対する売掛金、S社のP社に対する買掛金を相殺消去します。

買掛金 100,000 / 売掛金 100,000

この100,000分の売掛金に設定されている4%の貸倒引当金も相殺消去する必要があります。計算すると4000となります。しかしながら、すでに3,200の分は消去しているので、差額の800を相殺消去します。

貸倒引当金 800 / 貸倒引当金繰入 800


上の太字の3つの仕訳がQ1の解答です。


Q2は、アップストリームで、開始仕訳を必要とする貸倒引当金の調整の問題です。問題文はP社とS社を入れ替えただけです。数字は同じです。

まずは、当期の開始仕訳を書きます。貸倒引当金の計算は、「前期末におけるS社に対する売掛金残高は80,000円」を使います。「毎期4%の貸倒引当金を設定しており」とあるので、80,000×4%=3,200です。

貸倒引当金 3,200 / 貸倒引当金繰入 3,200

となるはずですが、貸倒引当金繰入は費用の科目なので、利益剰余金(期首)に変更します。

貸倒引当金 3,200 / 利益剰余金(期首) 3,200

アップストリームの場合は、非支配株主持分を考慮します。貸倒引当金に伴い、非支配株主持分が増え、P社としても費用が増えます。3,200の40%である1,280が非支配株主持分です。

非支配株主に帰属する当期純利益 1,280 / 非支配株主持分 1,280

となるはずですが、非支配株主に帰属する当期純利益は費用の科目なので、利益剰余金(期首)に変更します。非支配株主持分は純資産の科目なので、(期首)をつけます。

利益剰余金(期首) 1,280 / 非支配株主持分(期首) 1,280


次に当期の連結修正仕訳を書きます。

まずは売掛金と買掛金の相殺消去をします。

買掛金 100,000 / 売掛金 100,000

売掛金と買掛金の相殺消去にともなって、貸倒引当金の消去も行います。100,000の4%は4,000ですが、3,200はすでに終わっているので、差額の800となります。

貸倒引当金 800 / 貸倒引当金繰入 800

これに伴って、非支配株主持分を増やす仕訳をします。貸倒引当金800の40%は320です。

非支配株主に帰属する当期純利益 320 / 非支配株主持分 320


上の太字の5つの仕訳がQ2の解答です。


この動画と教科書の解説が利益剰余金(期首)に振り替える点において、異なっているのですが、どう考えれば良いのか私にはわかりません。





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