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【簿記2級 商業簿記】2023年度版テキストP450 連結会計⑥未実現利益の消去の動画解説 [簿記]



このへんになってくると、連結会計の勉強をやめたくなります。

Q1は未実現利益の消去の問題ですが、一番簡単なダウンストリームで、開始仕訳を書かなくてよいものです。これならなんとかついていけます。

P社はS社に対して、売上総利益率25%で商品を販売し、S社はそれを外部に販売しているという設定です。期末において売れ残りがあるので、利益が未実現の状態です。その未実現利益を消去するという処理です。これもまた内部取引の相殺消去です。S社が仕入れた商品に載せられた利益と、P社が商品に売上に乗せいた利益を相殺消去するということです。連結会計では、仕入は売上原価となり、売上と売上高となります。

問題の表はS社が保有する棚卸資産を表しています。期首商品棚卸高と期末商品棚卸高の記載がありますが、当期からS社への販売が始まったとあるので、期首商品棚卸高は不要な情報です。ここで見るべきなのは期末商品棚卸高だけですが、外部仕入れ分は内部取引ではないので、関係ありません。必要な情報はP社仕入分12,000のみです。

P社はS社に対して商品を12,000で販売したということですが、P社は25%の利益を載せています。商品の在庫は、その25%分の利益が実現していないので、消去しなければいけません。それが「未実現利益の消去」の意味です。

12000円は売価です。それが100%で、25%の利益を差し引いた75%が原価です。120,00の25%は3,000です。それを取り消せば、S社が抱えている在庫の原価が出ます。仕訳は以下の通りです。

売上原価 3000 / 商品 3000

これがQ1の解答です。

続いてQ2です。この問題はダウンストリームで、開始仕訳ありのやつです。問題文にある「以前より仕入金額に10%の利益を付加して販売しており」という部分がそれを示しています。それ以外のところはQ1とほぼ同じです。

Q1の場合は、前期の分はなかったので、期首商品棚卸高は仕訳に入れる必要はありませんでしたが、今回はそれを使って開始仕訳をします。

まず、前期にP社が商品に付加していた10%の利益がいくらだったのかを計算します。P社仕入分
132,000は110%の売価ですから、110分の10を掛けると、12,000になります。この仕訳は以下のようになります。

売上原価 12,000 / 商品 12,000

↑これは「前期末の連結修正仕訳」です。しかしながら、当期の開始仕訳では、費用の科目である売上原価を利益剰余金(期首)に置き換えます。

利益剰余金(期首) 12,000 / 商品 12,000

↑これが「当期の開始仕訳」です。

次に、「当期の連結修正仕訳」を書きます。これは上の仕訳の逆仕訳です。P社仕入分132,000はすでに外部に販売済みであり、未実現利益が実現し、当期に利益になっています。未実現利益だったからこそ、上の仕訳で商品を12,000取り消す仕訳をしていたわけですが、すでに販売されたので、「前期末の連結修正仕訳」である「売上原価 12,000 / 商品 12,000」の逆仕訳をして取り消します。

商品 12,000 / 売上原価 12,000

最後に当期末の連結修正仕訳を書きます。

期末商品棚卸高のP社仕入分は110,000です。わざわざ計算するまでもありませんが、110,000の10%は10,000です。この未実現利益を取り消す仕訳を書きます。

売上原価 10,000 / 商品 10,000

以上、Q2の解答は上の3つの太字の仕訳になります。



Q3は未実現利益の消去の問題の続きですが、これはアップストリームで、開始仕訳を書かなくて良いものです。期末商品棚卸高のS社仕入分が12,000。P社は25%の利益率でS社に販売したが、売れ残っているということだから、12000×25%の3000円という利益が未実現です。それを取り消す作業をします。

売上原価 3,000 / 商品 3000

右に「商品 3000」と書く理由は、商品の価値を3000円下げるということです。費用である売上原価が左に来るということは、費用が増えることを示します。費用が3000増えるので、S社の当期純利益が減ることになります。

それに従って、非支配株主持分と非支配株主に帰属する当期純利益が減ります。その仕訳を書きます。非株主持分は40%ですから、3,000×40%で、減らす金額は1,200です。

非支配株主持分 1,200 / 非支配株主に帰属する当期純利益 1,200

非支配株主持分は純資産、非支配株主に帰属する当期純利益は費用ですから、ともに減ったということです。これは「子会社の当期純利益の振り替え」と反対の仕訳です。

以上の2つの仕訳がQ3の解答です。

Q4は未実現利益の消去(アップストリーム、開始仕訳あり)の問題です。

まずは「前期末の連結修正仕訳」を考えます。前期にP社がS社からの仕入れた分は132,000。S社は原価に10%の利益を載せて販売しているとあるので、132,000に110%分の10%を掛けた数字12,000が利益です。この利益を消去します。

売上原価 12,000 / 商品 12,000

売上原価は費用の勘定科目ですから、費用が増え、S社の当期純利益が減ることになります。したがって、「子会社の当期純利益の振り替え」と反対の仕訳を書きます。利益の減少は12,000の40%です。

非支配株主持分 4,800 / 非支配株主に帰属する当期純利益 4,800

これが前期末に書いた連結修正仕訳です。

これを「当期の開始仕訳」とするためにもう一度同じ仕訳を書きます。ただし、これまで同様、費用・収益の科目は利益剰余金(期首)とし、純資産の科目には(期首)をつけます。

利益剰余金(期首) 12,000 / 商品 12,000
非支配株主持分(期首) 4,800 / 利益剰余金(期首) 4,800


続いて、「当期の連結修正仕訳」を書きます。

期首商品棚卸高のP社仕入れ分132,000はすでに外部に販売済みであることから、取り消した未実現利益が実現したことを示す仕訳をします。それに合わせて、非支配株主に帰属する当期純利益(費用)と非支配株主持分(純資産)を増やす仕訳をします。


商品 12,000 / 売上原価 12,000
非支配株主に帰属する当期純利益 4,800  / 非支配株主持分 4,800

続いて、期末商品の未実現利益の消去をします。期末商品棚卸高のP社仕入分11,000に含まれる未実現利益を計算します。110%分の10%ですから10,000です。これを取り消す仕訳は以下の通りです。

売上原価 10,000 / 商品 10,000

それに応じて、非支配株主持分(純資産)が減るので、以下のような仕訳を書きます。

非支配株主持分 4,000 / 非支配株主に帰属する当期純利益 4,000

非支配株主に帰属する当期純利益は費用ですから、P社にとって費用が減って、純資産が増えるということです。4,000は10,000の40%です。

以上、Q4の解答は上の6つの太字の仕訳です。


Q5は土地に関わる未実現利益の消去(ダウンストリーム)の問題です。簡単です。

S社がP社から帳簿価額100,000の土地を140,000で購入したが、これは連結グループ内での内部取引なので、消去するということです。40,000の固定資産売却益を減らし、土地の価値を元に戻すだけです。

固定資産売却益  40,000 / 土地 40,000

固定資産売却益は収益の科目ですから、左に置けば、減ることを示します。


Q5は土地に関わる未実現利益の消去(アップストリーム)の問題です。これも簡単です。

問題文は立場が入れ替わってS社がP社に土地を売ったという形になっています。この場合は、非支配株主持分を考慮しなければいけません。非支配株主持分は40%なので、16,000を減らします。


非支配株主持分 16,000 / 非支配株主に帰属する当期純利益 16,000


以上2つの太字の仕訳がQ6の解答です。







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