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谷間の学校 日映科学映画製作所製作 [資格・学び]



あまりに素晴らしい記録映画なので、真剣に見入ってしまいました。

時代は、1956年(昭和31年)。場所は、群馬県と長野県の県境の谷間(たにあい)にある小さな山村です。主人公は、その貧しい村で、8年間も小学校の分校で低学年の子どもたちを教え続けている先生です。映像は、主に、先生の熱心な指導の風景と、その熱心さに心を打たれ、校舎を新築した村人たちの様子、そして学校で学ぶことを心から喜んでいる子どもたちの様子が記録されています。


先生の指導方法は、当時としては、おそらく最先端のものだったと思います。朝読書を導入し、読んだ本の内容をクラスのみんなに話すという発表の授業を行ったり、ラジオ放送で物語を聴いて、みんなでそれについて議論し合うなどの方法を取り入れています。

驚いたのは、方言を矯正する指導を行っていることです。私も教職課程を取ったときに授業で教わりましたが、昔は方言を矯正する教育が徹底して行われたそうです。メディアの発達した今では、考えられませんね。

もうひとつ驚いたのは、先生が子どもたちの爪切りの面倒見てやっていることです。親たちが子供の面倒を見ていられないことを表しているのでしょう。村人たちは木こりを主な収入源としており、痩せた急な傾斜面の土地に麦や野菜を育てて暮らしています。子どもたちは全員、そんな貧乏な家庭の子どもたちですから、家に帰ると働かされることになります。いまでは禁止されている児童労働ですね。重たい荷物を背負って山道を歩かされるわけです。

そんな暮らしをしている村の子供たちに、社会性や教養を身につけさせようと指導する先生の熱意に感銘を受けました。うちの爺さんは教員ではありませんでしたが、市役所の職員として、無教養で貧しい人々の指導を行っていたそうなので、なんだか祖父の姿が重なりました。年齢も、この先生と同じくらいだったと思います。

この記録映画は残念ながら途中で切れています。続きがあれば見てみたいです。


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