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敬遠か嫌厭か [資格・学び]

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記事の内容は、新興国において、中国のシノバック製のワクチン接種を「敬遠」する動きが見られるというものです。その内容はどうでもいいのですが、近頃蔓延気味のこの「敬遠」の使い方がいつも気になります。たぶん間違っていると思います。私なら、この意味では「嫌厭(けんえん)」を使います。

我々の耳には野球用語としての「敬遠」は耳馴染みがあると思います。その定義は辞書にも掲載されていますが、投手が打者とのの勝負を避け、意図的にフォアボールにすることです。それは相手打者の能力に敬意を払っているのですから、野球の場合は、その漢字の組み合わせ通りの意味です。

『斎藤和英大辞典』によると、「敬遠」は"To keep at a respectful distance; to keep (one) at a distance"と訳せるそうです。 「嫌厭」は"to dislike; to abhor; to detest; to loathe; to be disgusted"
です。

一般に使われている「敬遠」は単純に嫌うという意味でしか使われていないことがほとんどです。相手に対する敬意など一切感じられません。したがって、大抵の場合は「嫌厭」を使うべきです。

『漢字源』によると、「厭」は「動物のしつこい脂肪の多い肉を示」し、「しつこい肉は食べあきていやになる。厂印は上からかぶさるがけや重しの石。厭は、食べあきて、上からおさえられた重圧を感じることをあらわす」そうです。まさにうんざりしている感じです。そういえば、「厭世」なんて言葉もありますね。

中国製のワクチンは、接種後でも感染・死亡する人が少なくないとして、効果を疑問視する声も広がっているそうですので、うんざりしている感情も含まれているはずです。

「嫌厭」を嫌煙するなら、「忌避」という言葉もあります。しかし、「忌避」には逃げるという意味も含まれるようなので、上の記事の文脈には少し合わないこともあるかも知れません。もっと中立的なものがお望みならば、「回避」あります。