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早大でアカハラ「育ちが悪い」「早くやめろ」…60代講師解任、ナイフ当て発音指導も(読売新聞オンライン) [資格・学び]

早大でアカハラ「育ちが悪い」「早くやめろ」…60代講師解任、ナイフ当て発音指導も(読売新聞オンライン) - Yahoo!ニュース

発音指導は難しいので、気持ちはわかります。もちろんナイフをちらつかせたり、学生の人格を否定するのは許すべきではないですけどね。

人格否定で思い出しましたが、大学時代に教わった英語の先生には、毎週「お前らはバカなんだから〜」と言われ続けました。今ならアカハラでアウトです。基本的人権が守られる良い時代になりました。

その先生は我々学生たちに対して「そんなことも知らんのか?」という態度で次々に社会問題やら哲学の問題やら一般教養を確認する質問をしてくるのですが、たいてい答えられる学生はいません。仕方がないので、私が積極的に「それはこういうことではないですか?」と答えて、何度もクラスの危機を救ったことを覚えています。だいたい私が正解するので、逆に私も先生の怒りのターゲットになっていって、あるとき「だからぁ〜、何々はこうで・・・」と話しだしたら、先生は突然「だからとは何だ、きみは失礼じゃないか!」とものすごく怒られました。私は田舎育ちであるせいか、敬語もうまく使えなかったので、目上の人にタメ口をきいて嫌な顔をされることがよくありました。いまでもあります。

昔はそういう先生ばかりだったと言ったら、言い過ぎでしょうか。早稲田大学の60代の先生も、私と10年ちょっとしか年齢が代わりませんから、私と似たような教育を受けてきたに違いありません。教師からの体罰や暴言は日常茶飯事でしたからね。だから、その先生の気持ちはわかります。コソコソと陰で有名人を誹謗中傷するような輩よりもまだマシかもしれません。ドスをちらつかせるところなんざ、ヤクザ映画好きな先生だったのでしょう。私は共感できます。

冗談はさておき、話を戻しますが、発音指導のコツは、比較したり、ヴィジュアル化したりすることです。たとえば、英語の母音を教えるときは、自分たちが通常行っている日本語の母音の発音を確認し、意識化するところから始めます。その上に英語の発音を載せるのです。いま自分がしていることを確認し、それとの具体的な比較をしていけば、どこをどう調整すればいいのかが理解しやすくなります。文法を教えるときも同じで、私は日本語との比較をしながら進めます。そもそも母語の文法を意識化できていない人に外国語の文法は理解できません。そこがわかってないアホが、「英語は英語で理解しましょう」と言い続けているわけです。そういうことを言っている英語教育の専門家の意見を真に受けた間抜けな政治家がよくそんなことを言っていますね。呆れます。

ヴィジュアル化というのは、音は目で見るのは難しいし、理系の人がよくやるように音の波形を見ても何もわかりませんので、私は口の中の空間を分割した図を示し、口の開け方の大小、発音する場所は手前か奥からかなどを丁寧に解説するようにしています。それでけっこう上手になる学生が多いです。音だけを聴いても記憶するは難しいので、視覚的な情報も活用しているというわけです。

外国語の発音というのは、日本語にないものが多いのですから、それぞれの発音を、なんの手がかりもない状態で繰り返し練習して身体で覚えろといっても無理です。絶対音感でもあるなら別ですが、ふつうは覚えられないものです。それは、学生の頭が悪いからとか、育ちが悪いからというのは、話が違います。それでは子供の喧嘩でしょう。

教える側は問題が生じている原因を正しく分析して、対策を講じる責任があります。それを怠っているのか、またはその能力がないのであるならば、むしろアタマが悪いのは、その60代の先生のほうと言わざるを得ません。

世の中には、この60代の先生と同じタイプがゴロゴロ転がっています。あの人もそう、この人もそう、あなたもそう、私もそう。

精進します。

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