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「一人で外食できない男性」 [食べ物・料理]

他人の視線が気になる? 一人で外食できない男性たちのメンタル(マネーポストWEB) - Yahoo!ニュース

私もまた「一人で外食できない男性たち」の一人です。外食を回避する要因の一つは値段が高いことにありますが、もっとも大きな要因は他人の目が気になることです。

『孤独のグルメ』の主人公のように、自分の勘だけを頼りに、ふらりと食堂に入り、胃袋の命令に従いメニューを選び、店主が提供する料理とその空間を味わい尽くすような贅沢な経験はしたことがありません。行くならいつも同じ店になります。毎回違うところに行くのはストレスフルなのです。そして、できるだけ早くその場を去ることだけを考えて、供された餌に食らいつきます。それが私の外食です。注文したメニューには、頼んでもいない「不安」や「緊張」がもれなくハッピーセットのようについてきます。料理を胃袋に収めていくのにつれて、不安と緊張が解消していくのですから、なんとも貧しい食事です。

ファミリーレストランに一人で行って、恐ろしく狭い一人客用の空間に押し込められ、申し訳ないと思いながら、食事をしたこともあります。母親と小さな子どもたちであふれかえるフードコートも怖いです。疎外感たっぷりです。常連さんたちであふれかえる街の中華料理の食堂もラーメン屋も怖いです。牛丼は嫌いなので吉野家には行きませんが、あのような一人客の味方にも思えるファーストフード店も苦手です。カウンターに客が横にずらり並ぶ方式からは、ブロイラーが餌を食べている様子が想起されるし、他人と肩を寄せ合って食べなければいけないのが私には過酷な体験に思えます。

では、他の客との間に仕切りがあればよいかというと、それでも不安は解消されません。お昼の混雑時に、二人席で相席になると、店員さんが間に仕切りを立ててくれる店もありますが、それでも仕切りの向こう側が気になって、食べることに専念できないのです。

人前で食事を摂る行為は、他人に自分の弱みを見せる行為ですから(エネルギー切れで弱っている!)、その弱みを赤の他人に見られることは恐怖です。弱みを見せられるのは、信頼できる自分の仲間だけです。「同じ釜の飯を食う」という表現もありますが、食事をするというのは、エネルギー補給の側面だけではなく、仲間との友好関係を維持し、深める側面が強いと私は信じています。

「冷たい社会」の中で完全に孤立した私は、残りの人生において「一人で外食できない男性」であることからは脱却できないと思います。