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「ていねいな暮らし」への憧れ [雑感・日記・趣味・カルチャー]

日が照ってきたので、1年ぶりに自転車を水洗いしました。カンカン照りだと、水洗いしても金属部分が錆びる前にたちまち乾いてしまうので、そういう日をわざわざ狙います。自転車を洗っているうちに、ツバメの糞と泥のついた汚らしいクルマの方も洗いたくなってきてしまいました。日差しが強い中では、塗装に悪いことは知っています。しかし、水しぶきが気持ちよかったので、その誘惑に負けてしまいました。ワックスがけは面倒なので、ガラスコーティング剤の入ったスプレーを吹きかけて乾いた布で引き取るだけで終えました。艶は出ませんが、水はしっかり弾くようです。

話は変わりますが、先日、課長に昇進した釣り好きの友人(北海道や外国にまで釣りに行く男です!)が、「俺はていねいな暮らしをしたい」と言っていたのをふと思い出しました。私も全面的に同感です。彼が「ていねいな暮らし」にどのような定義を与えているのか、わざわざ聞きませんでしたが、私が思っているものと大差はないでしょう。

具体的には、以下の10つを列挙できます。

1)時間に追われないでいられること
2)お金に不安を抱えずに済むこと
3)将来を心配せずに、今の生活に集中できること
4)健康を維持すること
5)家族や友人とのコミュニケーションを大切にすること
6)独りの時間を充実させること
7)モノに縛られないこと
8)趣味を楽しむこと
9)他人と比較したり、競争しないこと
10)つねに新しいことに挑戦できること

それぞれを微に入り細にわたって説明することもできますが、いずれの項目も、その必要もないでしょう。特殊な考えを抱いている人以外には、わかってもらえることだと思います。

ふと気になって、「ブログ村」(私は登録していません!)の人気ブログランキングを調べてみました。

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上位に来るブログのテーマは、シンプルライフ(整理・収納を含む)、犬猫、投資(貧乏生活を含む)に関することです。この背景には「ていねいな暮らし」への憧れがあることは明確です。

私はときどき鬱になります。心療内科を受診しても、うつ病であるとは診断されないかもしれません。しかし、絶望的に気分が塞ぐことがあります。その原因は、自分が理想とする「ていねいな暮らし」ができていないことに起因するのだと考えています。つねに誰かに利用され、搾取され、邪魔をされ、迷惑をかけられ、嫌がらせをされているという被害妄想が極端になったときに、鬱の症状が表れるようです。

土曜日の夕方に、テレビ朝日で『人生の楽園』という番組が放送されています。ご存知な方が多いと思いますが、田舎暮らしを楽しんでいる人たちを紹介するものです。ナレーターがいかりや長介の時代から好んで見ています。当初はトヨタが唯一のスポンサーだったので、何かの陰謀ではないかと思っていました。紹介される人たちはみなトヨタ車に乗っていたからです。都会では、クルマを所有せずに生活できる環境を享受できるので、自動車メーカーとしては、車を使わないと生きていけない不便な田舎に都会の住人を移住させようという魂胆があるのだと睨んでいました。

しかし、その後、ナレーターが西田敏行へと代わり、複数の企業がスポンサーになると、私の陰謀論も根拠が疑わしくなってきました。おそらく、多くの人々が恋い焦がれる「ていねいな暮らし」を紹介すれば、おのずと視聴者も増え、プロダクト・プレースメント式のクルマの広告は消えても、番組のスポンサーへのイメージは良くなり、結果、CMの効果が十分に発揮されると企業側も考えを改めたのでしょう。

それはともあれ、『人生の楽園』に出てくる人たちはみな、なぜか幸福そうに見えます。現役時代は、家族にも辛く当たっていたり、家族との交流もほとんどなかった男たちが、定年または早期退職を機に、大地に根付いた生活を実現できたからかもしれません。彼らの多くは、他人にこき使われることなく、自分で畑を耕したり、お店を開いて、地元の人達とさかんな交流をしています。現役時代とは一転して、性格も朗らかになり、周囲の人達に愛され、助けられています。人間として尊重されていると言ってもよいかもしれません。

鬱のときに、あの番組を見ると、私も彼らと同じような幸福感を味わわずには死ねないと思います。できるだけ早く、いまの無為な生活から逃れたいという気持ちを募らせる日々を過ごしております。