感謝

人間は、感謝されないと、生きていけません。

人は、誰かに感謝されることで、自己承認欲求が満たされ、自尊心が高めり、生きる活力を手に入れることができるのだと思います。（私は店員さんに英語圏の客のようにできるだけ「ありがとうございます」というようにしています！）しかし、世の中の風潮は、他人のあら捜しや非難こそが正義となっています。人々は、教師たちが抱く理念ではなく、警察みたいな低俗な考えに支配されているのです。

いま、私は自分自身の夫婦関係に言及しています。ワイドショーとテレビドラマの大好きな妻は、マスコミに日々洗脳されているせいか、私の言動に関するあら捜しの能力にきわめて長けており、私を不愉快にすることが恐ろしく得意な人です。

妻にとって私の駄目な部分というのは、自分ではさほど駄目な部分に思えません。実際、数ヶ月から数年にわたって口も聞かないという冷戦状態になるほどの欠点は私には見つからないと思います。私を悪人扱いするのであれば、彼女にとって、世の中の人すべてが悪人です。明らかに、私よりも彼女のほうが悪人です。

おそらく、私が家計を管理していることや、私に経済的に従属せざるを得ないことに、彼女は無意識に不満をいだいているのでしょう。それゆえ、私を支配したい、統制したいという欲求が強く、それができないからこそ、私に冷たく当たるのでしょう。私を糾弾することで、私にマウンティングできれば、この世は自分の思い通りになると勘違いしているのでしょう。

私がほんとうに欲しいものは、そんな妻の反省と、妻からの「感謝」の言葉です。それさえあればすべてを許せそうです。でも、私は妻に感謝されたことが一度もないのです。きっと死んでも感謝されないのでしょう。私に残されているものは、もはや絶望的な孤独死だけです。