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答案にカレーライスの作り方を書いて単位をもらったという伝説について [資格・学び]

授業に一切出てこなかった大学生が、期末試験で苦し紛れにカレーライスの作り方を書き記して単位をもらったという伝説がまことしやかに語られ続けています。この伝説が語られるのは日本だけなのでしょう。たいていの人はあんなものは嘘っぱちだと思うかもしれませんが、個人的には、あれは本当の話だったと信じています。その理由はいくつかあります。

答案には書かれたカレーライスの作り方を読みながら、教員はその食べ物をぜひ食してみたいという気持ちになったのではないかと思います。池波正太郎の小説ばりの、五感に訴える鮮やかな描写だったと想像できます。筆力で教員を唸らせたという可能性があります。

また、当該学生は、カレー屋でバイトをして、何か人生の真実を学んだことを証明したのではないかと推察します。その真実とは、何事も単純そうに見えて、実は、複雑きわまりないということです。その真実を、カレーライスが実に精妙かつ優美な工程を経て作られていることを書くことで、示したのでしょう。大学というところは、そういうことを学ぶところです。歴史の年号や単語を暗記して、テストで高得点を取るところでも、クイズ王になるところでもありません。結果、大学生として認められたのだと思います。

さらに、その答案には、自分がいかにカレーが好きなのかという思いがたっぷり染み込んでいたのだと想像します。他の模範解答のような答案の数倍の熱量が伝わってきて、その辛さと熱さに教員はしびれたに違いありません。

そうやって自分が好きなものを何時間でも語り続けられる人間というのは尊敬に値します。大学の先生はみな多かれ少なかれそういうタイプの人間です。まさにヲタクです。ヲタクではなければ、勤まらない仕事です。教員はその学生に自分と同じスパイシーな香りを感じたのでしょう。

ヲタクは世間的にはバカにされる傾向にあるようですが、実は彼らはどこでもしぶとく生きていけるタイプの人間であるはずですし、独特のものの見方で世の中を変えてくれる素質があります。そういう稀有な能力を持った人物を不合格にして、人格を否定することは罪であり、そんなことは教員がなすべきことではないと、感じたのではないかと思います。

そんなことを考えているうちに、なんだかカレーが食べたくなってきました。

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