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ジョン・フォード監督『静かなる男』(1952年) [映画]

ジョン・フォード監督『静かなる男』(1952年)を見直しているところです。人生で3回目の視聴です。

以前はまったく気がつかなかったのですが、たまたま気づいてしまったので、スクリーンショットを撮っておきました。

静かなる男.jpg

モーリン・オハラにハエが寄ってきています。

『静かなる男(The Quiet Man)』は、名作中の名作と呼ばれている作品で、映画好きなら知らない人はいないと思いますが、あらすじを簡単に紹介しておきます。心に傷を負ったショーン・ソーントン(ジョン・ウェイン)はアメリカから祖父の故郷であるアイルランドのイニスフリーに移住し、そこで美女メアリー・ケイト(モーリン・オハラ)と出会い、相思相愛になります。ショーンはメアリー・ケイトに求婚するのですが、兄に反対されてしまいます。当時のアイルランドでは家長の許可がないと女性は結婚できないことになっていたのです。ショーンは再び受けた心の傷を癒すかのように草原で荒馬を駆けているときに、自転車に乗ったメアリー・ケイトに遭遇し、二人は他人行儀な挨拶をするのです。動から静の推移がドラマチックです。

また、その場面は字義通りロマンチックなシーンです。ロマンチックとは手に届かないものを憧れるという心情を形容する言葉ですが、まさにその言葉が相応しい場面です。それにもかかわらず、黒いおじゃま虫が画面に映り込んでしまっています。蝿は、モーリン・オハラの匂いではなく、馬の臭いに誘われたのでしょうが、若干興ざめするシーンです。さぞかしモーリン・オハラもジョン・フォード監督も残念に思っていたのではないかと思います。

現代なら、簡単に画像処理してしまうところですが、こういうのが残っていることによって、伝説が生まれるのでしょうね。