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Suzanne Vega: NPR Music Tiny Desk Concert [音楽・楽器]



スザンヌ・ヴェガが往年の名曲「ルカ」を机の前で歌っています。この曲は児童虐待をテーマにしていると言われています。アメリカでは、現在でも、社会問題や政治的な問題に踏み込んだ歌が生まれています。ラップなんて、その典型です。

翻って日本に目を向けると、悲しいかな「君」だの「僕」だのって、脳天気に恋の歌を歌っています。そして、ミュージシャンがちょっとでも政治的な発言をすると、専門外の人間は政治に口出しするなという圧力がどこかからかかり、さらに愚かなネット民で棍棒で叩かれるのです。民主主義が浸透していない証拠、日本人の民度の低いことの証左です。

スザンヌは二曲目に新曲を歌います。"Crack in the Wall"というそうです。この録音は2014年のものですから、トランプ大統領の作りたがっている壁についての言及ではなりません。しかし、スザンヌはミュージシャンとしての直感で、人々の間に壁が出来しつつあることを予兆的に感じ取っていたのでしょうか。

スザンヌの想定している壁は物理的なものではなく、スピリチュアルなもので、我々はつねにその向こう側を見たいという気持ちを持っているものだと述べています。ドアーズのジム・モリソンもそうでしたし、60年代のヒッピー・ムーブメントもそういう思想をベースにしていました。

ことほど左様に。人々の視界を阻む壁をぶち壊すことが、1950年代に始まった冷戦以降、人々のオブセッションになっていました。その結果、東西の壁の象徴であったベルリンの壁が1980年代の終わりに崩壊し、自由主義国と共産主義国の壁が崩れ、今日的な意味でのグローバル化が始まったのです。(グローバル化は国際化と同義ではありません。その区別ができない人は、現在、世界で起きていることの本質を理解するための教養がないのです。)

ところが、トランプ大統領は、またぞろ、我々の視界を遮る頑丈な壁を(即物的な意味でも、形而上学的な意味でも!)世界中に張り巡らせ、アメリカを要塞国家にしようとしているだけではなく、自分たち富裕層だけが安全な場所にいられるように画策しています。

もしトランプの狂気に洗脳され、一旦そんな壁が構築されてしまったら、破壊するのにどれくらいの時間がかかるのでしょうか。トランプ大統領の誕生は、時代の後退、人類の退化そのものです。1期(4年)限りで彼の大統領としての命を終わらせられなければ、残念ながら、アメリカの終焉、アメリカの世界史からの撤退を示すことになります。

その後は、中国が持ち前の中華思想を展開し、世界中に版図を広げることになるのでしょう。日本はとっくの昔に世界史から退場しているので、ますます貧乏くさい国に成り下がっていくだけですが。



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