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日本人は「バカとマゾが9割」? [雑感・日記・趣味・カルチャー]

この国を支配する「コロナ脳」問題…日本人は「バカとマゾが9割」なのか 集団ヒステリーはもう十分だ(前編)

中川淳一郎さんの考えはいつも感心しません。まとめると、彼はこんなことを言っています。コロナは大したことはない。自分はがんとうつ病の方が怖い。自分の回りにはコロナ感染者はほぼいない。がんとうつ病で亡くなった人は複数いる。高橋洋一氏の「さざ波」発言をマスコミは叩きまくったが、日本のコロナ感染者数の増加など確かに騒ぐほどのことはない。マスコミは煽って金儲けをしている。ヤフコメでよく見かける発言ですね。中川さんはそこらへんの「ヤフコメおじさん」と一緒なのかもしれません。

まず、自分はコロナなんかより、がんとうつ病の方が怖いという発言についてですが、この論理は「へえ、お前は幽霊なんか怖いの? 俺は交通事故で家族を亡くしたからクルマのほうが怖いよ」みたいなものです。自分が恐怖を感じているもののほうがリアルで、他人が感じている恐怖はリアルではないと否定することで、自分の価値観を他人に押し付ける論法です。恐怖なんて主観的なものなんですから、どっちが怖いかなんか比べても意味はありません。「まんじゅうこわい」かよ! 

次に、日本の感染者数は「さざ波」程度発言への賛同に関してですが、高橋洋一氏は感染者数のひどすぎる国の数値と日本の感染者数だけと比べて、日本の被害を過小評価したわけです。アジア諸国との比較をしなかったことは、全体をバランス良く見るという視点の欠如を晒しています。これは自分の意見に都合の良いデータだけを切り取るという、学問の世界では絶対にやってはいけないインチキ論法です。そこを批判できないということは、東京大学卒の高橋洋一氏と一橋大学卒の中川さんは同じレベルなのでしょう。

最後に、マスコミが恐怖を煽っているという発言に関してですが、恐怖を煽ることで視聴率が上がるのを狙っているのは確かです。しかし、それによって、年寄り連中がテレビを見て、得体のしれないものへの戦い方を身に着けられたかもしれませんし、怯えるあまり外に出かけなくなって、感染者数の抑制につながったかもしれません。もちろん、副作用もあって、政府が非学的な居酒屋での営業時間短縮要請やら、酒の提供の自粛要請のせいで飲み屋街が疲弊したのは確かです。どんなことにも利点も欠点もあるのです。裏表をきちんと確かめないと、スーツの上着を裏返しに着ているような人みたいに見えます。

世の中には、全体を視野に収めようと努力をする人はきわめて少ないように思われます。また、自分とは違う捉え方をする人の気持ちを考えようともしません。彼らはみなパースペクティヴ(遠近法)の中に閉じ込められている奴隷みたいな人たちばかりです。彼らが自分の見ている風景だけが真実で、自分には見えない風景は存在していないと主張します。そして、自分の考え方だけが正しいのだ無根拠に言い張ります。もしかするとその考え方のほうが正しいかもしれませんが、正しくないかもしれません。神のみぞ知るです。そういう謙虚な気持ちがない人は、一橋大学を出ても学問を修めた人とは言えません。ただの馬鹿です。中川さんも9割の側の人間です。もちろん、私もそうです。ただ私は自分もパースペクティヴの奴隷であるということには気づいているので、彼よりは若干ましです。